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【JAZZ新譜】UKのサックス&ドラムデュオ、プロデューサーはヒュー・パジャム Feeding the Machine / Binker and Moses (2022)

フィーディング・ザ・マシーン / ビンカー&モーゼス

Feeding the Machine

Feeding the Machine

  • Gearbox Records
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イギリスはサウス・ロンドンのジャズ・シーンにおいて、フリー・インプロヴィゼイションの旗手と目される、サックス奏者のビンカー・ゴールディングとドラマーのモーゼス・ボイドによるデュオ。

ファーストアルバムは2014年の『Dem Ones』で、これ一回こっきりかと思いきや、2017年には『Journey to the Mountain of Forever』、2018年と2020年にはライヴ作品『Alive in the East?』『Escape the Flames』と、コンスタントにリリースを続けてきた。

今回の『Feeding the Machine』は、スタジオ作としては5年ぶりということになる。

 

前回のスタジオ作『Journey to the Mountain of Forever』はゲストを交え、スケールの大きな叙事詩的な音絵巻を描いていたが、今回の演奏者はビンカーとモーゼスの二人だけ。

ただし、イギリス人若手ベーシスト、マックス・ラザートがテープ・ループとエレクロニック・エフェクツで参加している。

おそらくは、サックスとドラムの生音をマックスによるマシンでフィードバックさせ、そのフィードバックに対してさらに生演奏を被せているのだろう。

マシンでのエフェクトのかけ方もかなり変則的でスリリング。

生音とマシンを交えた、フリーインプロビゼーションとも言えそうだ。

 

そして、プロデュースとエンジニアリングは、なんとヒュー・パジャム。

スティングやデヴィッド・ボウイなどを手掛けたロック界の大物である。

レコーディングはピーター・ガブリエルのリアル・ワールド・スタジオにて行われたそうだ。

なるほど、今回の作品には、EDMと言ったら言い過ぎだが、アンビエントやエレクトロぽい印象の曲もある。

マックス・ラザートやヒュー・パジャムを起用した狙いは、そこにあるのだろう。

 


<了>

 

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