おとのほそみち

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マックス・ミドルトン Max Middleton #2 「Jeff Beck Group(Orange)」

 

マックス・ミドルトン(Max Middleton)の実質的なプロデビューはジェフ・ベック・グループの『ラフ・アンド・レディ』(Rough and Ready) 』である。

ジェフ・ベック・グループとしては『トゥルース(Truth)』 (1968)、『ベック・オラ(Beck-Ola)』(1969)に続く3作目。いわゆるグループ第2期としては、最初のアルバムである。

その『ラフ・アンド・レディ』の翌年、1972年に『Jeff Beck Group』がリリースされる。今では考えられないほどのハイペースだ。セルフタイトルアルバムだが、ジャケットにオレンジがあしらわれていることから通称『オレンジ』と称されている。

前作にプロデューサーはいなかったが、今作でブッカー・T&ザ・MG'sのギタリストであるスティーヴ・クロッパーにプロデュースを依頼。ジェフのブラック・ミュージック志向が明確に表れた人選だ。

メンバーは次の通り、前作とまったく同じである。

Jeff Beck: guitar
Bobby Tench: vocals
Clive Chaman: bass
Max Middleton: keyboards
Cozy Powell: drums

ジェフ・ベック・グループ

ジェフ・ベック・グループ

  • アーティスト: ジェフ・ベック・グループ
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/03/06
  • メディア: CD

1.Ice Cream Cakes
2.Glad All Over
3.Tonight I'll Be Staying Here with You
4.Sugar Cane
5.I Can't Give Back the Love I Feel For You
6.Going Down
7.I Got to Have a Song Riser
8.Highways
9.Definitely Maybe


前作は大半がベックの曲だったが、本作はボブ・ディランのカバーあり(#3)、スティービー・ワンダーのカバーあり(#7)と、幅広い選曲。

中でも耳を奪われるのはやはりベック作で、1曲目のファンキーな「Ice Cream Cakes」ではボビー・テンチのヴォーカルが素晴らしい。

そしてラストの「Definitely Maybe」は美しいバラード。ここでのマックス・ミドルトンのエレピのソロにはため息がでる。ベックの咽び泣くようなギターに対比するかのような、マックス・ミドルトンの端正で凜としたフレーズとともに曲はフェイドアウトする。

このアルバムは米ビルボードで最高位19位を記録。

そしてジェフ・ベック・グループとしての最後のアルバムになった。

 

#この項おわり