おとのほそみち

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山下達郎サンデーソングブック 6月9日「ベタリク(ベタな曲のリクエスト特集)」書き起こし

達郎氏による曲の解説部分を書き起こしています。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。 ネットに音源があるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合があります。

Ride on Time/山下達郎
I Want To Hold Your Hand/The Beatles
Sugar Baby Love/The Rubettes
The Rain,The Park&Other Things/The Cowsills
Time Of The Season/The Zombies
Yesterday Once More/Carpenters
Unchained Melody/The Righteous Brothers
The Maltese Melody/Herb Alpert&Tijuana

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今週はですね久しぶりに『ベタリク』
ベタな曲のリクエスト。略して『ベタリク』。
久しぶりでございます。
5年とか7年とか、そんな感じでございます。

もう誰でも知ってるような曲をリクエスト頂きます。
そうなりますと、みなさん普段リクエストくださらない方とか、超常連の方も、ここをせんどと、いつもの倍くらい頂きました(笑)

でも、この番組始まりまして27年やっておりますけれども、始めたころのベタリクはほんとに、何と言いましょうか、ほんとにベタな曲っていう。
でも30年近くやっておりますと、リスナーの年齢層が広がっておりますので、世代によって、ベタな曲の尺度が変わっていくという。
なかなか面白い。
誰でも知ってるという、そういうものが、なかなか見極めづらい。

だから僕らなんかの世代は、えぇ?これベタじゃねぇだろう!と。
若い方からみると、こんな曲知らないっていう、そういう感じであります。
ベタリクというのも性格が変わってきているという感じがいたします。

ですので、私の一曲目もですね、超ベタなやつ。RIDE ON TIME

 

 


ベタな曲。いわゆる大ヒット曲、誰でも知っている曲なんですが、先ほども申し上げましたように、番組を長くやっておりますと世代がだんだん広がってまして、世代によってベタな曲が、例えば「私が好きな漫画」とかと同じで、だんだんそれが広がってきまして、ベタリクというものの本道が揺らぎ始めていると言う。関係ありませんね(笑)

最近は特にマニアックなものの方が大ヒット曲よりももてはやされると言いましょうか、そういうものがありますけれども、ベタな曲はいわゆる基礎教養としてのロックヒストリーを語る上では知っておかなければならないと。
そういう言い方も良くないんですけれども。
ベタリクといえばまずBeatles
Beatles、Stonesとお決まりでございます。
いろいろいただきましたが「I Want To Hold Your Hand」、邦題「抱きしめたい」。1963年全英ナンバーワン。アメリカではこれが実質的なデビューヒットとなりました。1964年全米ナンバーワン。
でもCDをかけようと思いましたらオリジナルモノラルシングルバージョンが見つからないんです。
『Past Masters』というやつ(アルバム)はステレオだったんです。
ステレオでこの「I Want To Hold Your Hand」と言っても当時ぼくらが聞いていた「抱きしめたい」じゃないんです。
やっぱりオリジナルのモノラルの『Meet The Beatles』とか、ああいう時代のモノラルの、もしくはシングル盤のじゃないとだめなので、それを探すのが大変で、『Mono Masters』(ボックスセット)がありまして、そこから引っ張り出してきました。あーこれ、これこれと(笑)
さすがに63年のレコーディングですので、若干今の音圧ですとダイナミックレンジが足りないので、めいっぱいリマスタリングしてロッケンロールな音にしました。
理屈を言わないと気が済まない(笑)すいません。多弁です。

 

お次は1974年全米ナンバーワン。
ロンドン出身の5人組のボーカルインストゥルメンタルグループ。日本でも大ヒットしましたRubettes「Sugar Baby Love」。
私のベタの概念にぴったりあてはまる曲です。

この超絶な裏声の人は、このレコードが出ている時点ではもう脱退してしまっているという(苦笑)そういう逸話がありますが、なかなか大変でございます。

 

今回いちばんリクエストいただきましたのは、季節柄かもしれませんけれどもCowsills。牛も知ってるカウシルズ。
当時も大ヒットしました。1967年全米2位。
「The Rain,The Park&Other Things」、邦題「雨に消えた初恋」。


作者のArtie Kornfeld、Steve Duboffは、こうした曲が得意です。
後にArtie Kornfeldはウッドストックフェスティバルの発起人になる人です。
アレンジがJimmy Wisnerなので素晴らしい。


次はZombies。一旦解散してたんですけれども、この曲が出てまたヒットしまして、幸運と言いましょうか、69年全米3位、ミリオンセラーになりました。
日本では、グループサウンズでやらないバンドはないというくらいコピーしましたので、そういうのを含めて日本では大ヒットしました。
元々は67年のレコーディングなんですけれども、69年にシングルカットされまして大ヒットしました「Time Of The Season」、邦題「ふたりのシーズン」。

 

ベタリクということでビートルズがすごく多いですけれども、カーペンターズが多いですね。やはり日本ですね。
今日はこれ「Yesterday Once More」
でですね、「Yesterday Once More」はアルバム『Now & Then』からシングルカットされまして1973年全米2位。
日本でも大変知られた曲ですけれども、今のCDのほとんどは『Now & Then』のメドレー形式の「Yesterday Once More」が終わると「Fun, Fun, Fun」が始まるという、こればっかりなんです。
普通のシングルバージョンでちゃんとしたフェードアウトのやつがない。家にCDがない!
で、アナログ盤のベスト盤というのを持ってまして、シールドだったやつを始めて封を切りまして。持ってるもんですね。これから今日はオリジナルアナログ盤のベスト盤から「Yesterday Once More」のシングルバージョン。

ベタリクといえども手を抜けない。テイクを探すだけでもいつもよりも時間がかかってしまう(笑)

 

次は「Unchained Melody」。私の中学時代のヒット曲です。
1965年全米4位。プロデュースはPhil Spector、アレンジはJack Nitzsche、そしてRighteous BrothersのBobby Hatfieldのボーカル。三位一体となって素晴らしい作品に仕上がりまして、歴史的なスタンダードになりました。
「ゴースト」の映画に取り上げられまして、再び若い方々にもお馴染みの曲になりました。
1990年の映画「ゴースト」の主題歌ですが、元々は1965年の作品、全米4位。「Unchained Melody」


元々は1955年の作品です。いろんな人がヒットさせましたけれども、この65年のRighteous Brothersのバージョンが一番有名であります。
その後、90年に映画「ゴースト」の主題歌に使われまして決定的になりました。大スタンダードです。


今日の最後は「マルタ島の砂」。
Bert Kaempfert ですけれども、日本ではHerb Alpert & The Tijuana Brass。
深夜放送で使われて大ヒットいたしました。1969年のアルバム『The Brass Are Coming 』に入っています。
向こうでは全くシングルカットはされておりませんけれども、日本ではHerb Alpert & The Tijuana Brassの曲として有名です 。今日の最後はマルタ島の砂(The Maltese Melody)」



<了>