テレビ朝日「EIGHT-JAM」竹内まりや特集(2024年10月20日)より

Q:年齢にともなう歌詞の変化について
やっぱり年齢が上がるに連れて、例えば見えてる景色、感じ方とか、例えば今の世情に対しての自分の思いとか、そういうものは見え方が変わってくることが自然なので、当然見つかる言葉とか言いたいこととかも、若い時とはやっぱ変化していくのが普通だと思ってるんですね。
例えば「人生の扉」は51歳の誕生日を迎えた時に、ふと桜を見て、私は春に生まれてるので、春の桜を見て「 これをあと何回見るのかな?」って思った自分がいたことに気づき、「あ、これは歌にしてみよう」と思って書いたのはが「人生の扉」で、それはもしかしたら30とか20歳の頃には思いつかなかった発想で、何回桜を見るかなっていう思いは、多分50代になったから見つかった言葉ですよね。そういった意味での変化はあります。
でも作詞してて面白いなと思うのは、今もうすぐ70になろうとする自分がティーンエイジャーのときの自分を振り返って、例えば広末涼子ちゃんに「MajiマジでKoiする5秒前」を書いたりする自分もいるんです。 それはティーンエイジャーの時代の自分に戻って書けるじゃないですか。だから70になる人は、ティーンエイジャーの歌も書けるし、40歳も書けるし30も書けるっていう幅ができてくるわけですが、30代だったら自分が70の歌は書けないんですよね。だからそこはスゴいアドバンテージだと思っているんです。歳を重ねることはそれだけ歌詞のテーマの幅が広がるし、見つかる言葉も豊かだろうな と思って。
なので歌詞の変化ていうのは、私の年齢の変化でもあるし、そこで感じる感じ方の変化が反映されているんだと思いますね 。
Q:作詞で流行や時流などは意識されていますか?
詞だけにとどまらず、その楽曲、音楽として私と達郎が常に目指してるのは、20年 30年たった時に色褪せない音っていうか言葉だったり、そういう普遍性というのを追求したいと思ってるんですね。
だから例えば時代を反映した言葉っていうのは、盛り込むことあると思います。例えばスマホであるとか携帯みたいなのは40年前には使わなかった言葉で、そういうのは作詞には入るかもしれないですけど、でもやっぱり音として全体として聞いた時に、何十年も持ちこたえる音にしたいっていうのが、私たち2人の共通目標です。
じゃあどういう楽器を入れたらそうなるのかとか、どういう言葉なら30、40年経っても古くならないのかってことは考えてるような気がします。だからアレンジはすごく重要なんですよ。今の流行りの音を入れると2年後に古くなっちゃったりとかするので、そこはすごく達郎が気をつけて音を作ってるところだと思います。
(作詞、言葉選びという部分でも普遍性を)
だから例えばどんな人にも「こういう感情ってあるよね」って、こういう場合は男であれ女であれ、年老いてても幼くても「こういう時ってこう感じるよね」っていう共通の何か気持ちはきっとあると思っていて、それを言葉にした場合どんな人にも当てはまるので、それは多分届く言葉だろうなと思ってます。
だからそういうことの普遍性っていうのは、こだわってるかもしれないですね。
でも、その一方で、独りよがりというとおかしいんですけど、独自の世界観があって「これどういうことを言ってるんだろうか」って思うよな歌詞展開を、若い人たちがしてたり、私より年下のミュージシャンがしてたり、それはそれで面白いなと思うし、私には絶対できないことだから。これはどういう意図でこの言葉をこう並べたんだろうかって色々考えてみる面白さもあると思うんですよね、音楽には。
それを私は担当してないだろうなと思って。それを竹内まりやに皆さんが望んでるとは思わない。そういう展開を人々がやっていることで、ああすごいなと思って。
だから色々あって面白いじゃないですか。いろんなスタイルがね。
(アーティスト竹内まりやという存在を俯瞰で見ている?)
常にそれはあると思います。スゴく客観視していて、例えば作曲をするときでも、次のアルバムに入れる曲を「どういうものを歌わせたら面白いのかな」って思ってるもう一人の自分がいて、今回は例えばロックンロールの曲とか、もっと男っぽいバンドサウンドを歌わせようとか、もう一人のプロデューサー的な自分がいるんじゃないかなと思います 。