おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2019年10月6日「リクエスト+棚からひとつかみ」書き起こし

 

達郎氏による曲の解説部分を書き起こしています。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。 ネットに音源があるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

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1. 旅のつづき / 竹内まりや
2. YOU AND ME / ROCKIE ROBBINS
3. DEVIL IN HIS HEART / THE DONAYS
4. FOR YOUR LOVE / ED TOWNSEND
5. NATIVE NEW YORKER / FRANKIE VALLI "LADY PUT THE LIGHT OUT"
6. 悲しきハート / 弘田三枝子
7. LOCK YOUR HEART AWAY / SUSAN SINGER
8. 希望という名の光 / 山下達郎

 


さて、竹内まりやさん、40周年記念アルバム『TURNTABLE』
ご好評いただきまして、ありがとうございます。
息もつかせずニューシングルが出ます。

今週の水曜日10月9日に発売になります「旅のつづき」

今週金曜日10月11日から全国公開となります、映画『最高の人生の見つけ方』
吉永小百合さん、天海祐希さんの主演、この映画の主題歌でございます。
いよいよ発売になります、何卒よろしくお願いします。

気の早い、超常連の皆さまから、リクエスト頂いております「旅のつづき」

 


リクエストは「ロッキー・ロビンスで何かいい感じのをお願いします」。
ロッキー・ロビンスはミネアポリス出身の男性シンガー・ソングライターですが、1980年のアルバム『YOU AND ME』は名盤であります。ここからシングル・カットされた全米ソウル・チャート9位「YOU AND ME」。
プロデュース&アレンジはボビー・マーティン。
ベースがかっこいいのはラリー・グラハム、ドラムはジェイムズ・ギャドソン。
80年代ソウルの名盤です。


 

まりやさんの『TURNTABLE』が発売されまして、カヴァーが多いので、そのカヴァー曲のオリジナルが聞きたいというご所望をたくさんいただいています。これもその一枚。
ビートルズは訳のわからない曲をカヴァーしてまして、我々の中学高校のときは全然わからなかったんですけど、最近は誰でも知っているという情報のすごさです。
「DEVIL IN HER HEART」はもともとはドネイズという黒人ガール・グループの全くヒットしてないシングルです。ビートルズがカヴァーしたおかげで世界的に知られる曲になりました。
ビートルズはこの他にも「ミスター・ムーンライト」とか、ビートルズがやらなかったら歴史に埋もれていたという、そういう曲が沢山ありますが、これもそういう1曲。
1962年、ドネイズ「DEVIL IN HIS HEART」

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(『TURNTABLE』で、まりや&達郎でカヴァーされた)「FOR YOUR LOVE」の原曲を聞いてみたいというリクエスト。
我々のバージョンは、1967年のピーチズ&ハーブという黒人男女デュオ。これのヒット曲からとってますけど、さらにオリジナルがありまして、今日はそれをおかけします。
作曲をしているエド・タウンゼント、その筋ではたいへん有名な作曲家で、またプロデューサーです。一番有名なのは、マーヴィン・ゲイの『レッツ・ゲット・イット・オン』のアルバムの共作者として名高いです。この人のただ1曲の大ヒット、1958年、全米13位、R&Bチャート7位、自らの作詞作曲によります「FOR YOUR LOVE」


フランキー・ヴァリが来日したのでフランキー・ヴァリへのリクエストをたくさん頂いています。
彼のヒットソングではありませんで、もともとはオデッセイの1977年のヒット曲ですが、フランキー・ヴァリのヴァージョンの方が圧倒的に優れています。
1977年のフランキー・ヴァリのアルバム『LADY PUT THE LIGHT OUT』という、これは私の『CIRCUS TOWN』とほぼ同じメンバーで演奏されています。
アレンジはチャーリー・カレロ。エンジニアはボブ・クリアマウンテン。若きボブ・クリアマウンテンの素晴らしいエンジニアリングが堪能できます。サックスの見事なプレイも私の「WINDY LADY」で吹いているジョージ・ヤングのプレイです。フランキー・ヴァリ「NATIVE NEW YORKER」

このアルバムはビルボードにチャートインしてませんが、素晴らしい演奏です。
「ヒット・アルバムとは何なのか、そういう感じでございますが(笑)。
もうこれから42年。長い時が経ちましたが少しも色褪せない演奏。素晴らしい。

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竹内まりや『TURNTABLE』がらみのオリジナルを聞かせろというお便り。
「悲しきハート」(LOCK YOUR HEART AWAY)の1963年のヒット、スーザン・シンガーをお願いしますと。
スーザン・シンガーはイギリスのシンガーで、若い頃はマーク・ボランとバンドを組んでいた人です。
1963年の「LOCK YOUR HEART AWAY」、邦題「悲しきハート」は全然ヒットしなかったんですが、日本では弘田三枝子さんがカヴァーしてヒットしました。
まりやさんはこちらのヴァージョンを聴いていて知ってるいるので、私のアレンジも弘田三枝子さんの方の完コピです。
スーザン・シンガーのオリジナルより弘田三枝子さんのほうが歌は全然出来がいいので、まずは弘田三枝子さんのヴァージョンで「悲しきハート」、同じ1963年。

弘田三枝子さんは戦後日本の最高の女性シンガーの一人だと私は思います。

で。これのオリジナル、スーザン・シンガーの同じ1963年の「LOCK YOUR HEART AWAY」

 

今日の最後は(台風で被災された方のお便りを受けて)「希望という名の光」


<この項おわり>