ロギンス&メッシーナと言っても、1970年代の活躍をリアルタイムで知る人以外には、なかなか通じにくくなってしまった。
ケニー・ロギンスとジム・メッシーナによって結成されたアメリカ西海岸の男性ロック・デュオで、ベストアルバムを含め70年代に9枚のアルバムを残してる。
いきなり話が逸れるが、かつては欧米に男性デュオは結構いた。
サイモン&ガーファンクル、このロギンス & メッシーナ、シールズ&クロフツ、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー、ダリル・ホール&ジョン・オーツ、ワム!などなど。
しかし、今はほとんど見かけなくなってしまった。
一方で日本では、コブクロ、ゆず、ケミストリー、スキマスイッチなど活躍中のデュオがいっぱいいる。この差は何なのか、いささか不思議ではある。
で、ロギンス&メッシーナだが、当時のマーケットでもちろん存在感はあったが、それほど爆発的にヒットしたわけではない。
デュオ解散後のケニー・ロギンスのヒット曲の方が売上的には遥かに上で、日本でも良く知られている。
特にこのサントラの2枚。1984年の全米1位「フットルース」、86年の全米2位「デンジャー・ゾーン」(トップガン)である。「うわ、なつかしー」という人も多いだろう。この人がいたのがロギンス&メッシーナと言ったほうが話が早いかもしれない。
しかし残念ながらケニー・ロギンスのソロでの活躍も80年代まで。
いまロギンス&メッシーナと言っても特に日本でピンとこないのは、90年代以降の2人のソロ活動に目立ったものがないからだ。
そのロギンス&メッシーナの最大のヒット曲が、1972年の「Your Mama Don't Dance(ママはダンスを踊らない)」。全米4位を記録した軽快で耳あたりのよいナンバーだ。ウエストコーストサウンドではなく、ブルースベースでのちょっとルーズな感じのロックンロール。
この曲を西城秀樹さんがカバーしている。リリースされているのは、私の知る限り2形態で、ひとつは73年に発売されたライブアルバム「西城秀樹オン・ステージ」。そして、76年に発売されたカバー・アルバム「ヒデキ・ロック・オン・ステージ」(メドレーの中の1曲)である。
こういうロックンロールは秀樹さんの得意とするところ。決して簡単な歌ではないのだが、軽やかに肩の力を抜いて歌っているところがいい。できればオリジナルと同じく、デュエットでハモって欲しかった気もするが、当時のファンにしてみれば秀樹さんの歌だけでむしろ十分だったのだろう。
ライブの曲の途中で秀樹さんが「ギター、サワケンイチ」と紹介しているが、これは沢健一氏だろう。のちに沢田研二さんのバックなども務めた腕利きである。と、淡々と書いているが、このとき秀樹さんはまだ10代(!)なのである。一流のミュージシャンを従えての余裕のある歌いっぷりには、驚くしかない。
#この項おわり
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