先日、秀樹さんがカバーしたピーター・アレンの「あなたしか見えない」(Don't Cry Out Loud)に関して、メリサ・マンチェスターを紹介した。
この曲が収められているアルバムのタイトルも同じく「Don't Cry Out Loud」で、リリースは1978年。彼女にとって7作目のアルバムだ。
これがなかなかの名盤で良い曲だらけ。
バックを固めているミュージシャンも、David T.Walker(g)、Lee Ritenour(g)、Richard Tee(key)、Chuck Rainey(b)、James Gadson(ds)と辣腕ぞろいだ。
さて、「あなたしか見えない」の他に、もう一曲、このアルバムの中から秀樹さんがカバーしている曲がある。
これはファンの中にもご存知無い方が多いかもしれない。
「To Make You Smile Again」である。
秀樹さんが1984年8月に日本武道館で開催したコンサート、及び大阪城ホールで開催したコンサートを収めたライブアルバム「JUST RUN'84 HIDEKI」に収録されている。
アルバムの最後、甘くささやくような歌声を聞かせている、あの曲だ。
良い曲だが、地味。一般的な知名度はほとんどない。さきほど「ご存知ない方が」と書いたけれど、それもむしろ当然。
よくこれをラストにもってきたものだ。
加えてメリサのバージョンと秀樹さんのバージョンでは、アレンジが全然違う。
オリジナルはもっとアップテンポなのだ。
この原稿を書くにあたり、改めてこのカバーについてチェックしてみたら、「これ、ほんとに同じ曲?」と書いておられるブログを見かけた。
そう思えるのも当然かもしれない。
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実はこの曲、メリサ・マンチェスターとキャロル・ベイヤー・セイガーとの共作である。
キャロルの78年のアルバム「...Too」の1曲目に「To Make You Smile Again」が収められていて、ドン・コスタによるアレンジは、とろけるようなスローだ。
秀樹さんが、このキャロル・ベイヤー・セイガーのバージョンを参考にしたことは、まず間違いないだろう。
キャロル・ベイヤー・セイガーが80年前後にリリースした3枚のアルバムは、どれも傑作だ。私は何回聞いたかわからない。
しかしアルバムはこの3枚のみ。
曲提供はその後もずっと続けてきたようだが、オフィシャルサイトを見ても2008年、カーリー・サイモンに提供した「So Many People To Love」が最後になっている。
何らかのかたちで新曲が聞けたら、と願う。
<了>
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