おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



ECMからリーダー作を発表した3人目の日本人 田中鮎美

f:id:bakoji:20211128235024j:plain



ジャズファンなら知らない人はいない、ドイツの名門レーベルECM。

1969年、ドイツ(当時は西ドイツ)のミュンヘンにて、マンフレート・アイヒャーによって設立された。

「静寂の次に美しい音(The Most Beautiful Sound Next To Silence)」をスローガンとして、ジャズと中心とした作品を次々にリリース。

オーディオ特性に優れた透明感のある音と、コンセプチュアルアートさながらの洗練されたジャケットデザインで人気を博した。

Chick Corea「Return To Forever」

Keith Jarrett「The Köln Concert」

など、ジャズ史上に残る名盤も数多い。

 

この名高きECMから、日本人として初めて作品をリリースしたのが菊地雅章。
2012年の「Sunrise」だ(録音は2009年)

1960年代から活躍してきた人だから、日本においてはこのときすでに巨匠。

名匠ポール・モチアン(ドラム)と若き実力派トーマス・モーガン(ベース)を従えてのトリオ作品だった。

菊地もモチアンも、すでに天に旅立っている。

Sunrise

Sunrise

  • ECM Records
Amazon

 

日本人として、次にECMからリリースしたのはドラマーの福盛進也。

2018年の作品「For 2 Akis」だ。

福盛は、17歳で渡米して10年間アメリカで活動し、2013年、ミュンヘンに拠点を移した国際派で、作曲家としても高く評価されている。

For 2 Akis

For 2 Akis

Amazon

 

そして2021年、3人目が現れた。

ピアニスト/コンポーザー、田中鮎美である。

田中は2011年にオスロに渡り、北欧を中心に活躍し、2016年にアルバム「Memento」でデビュー。

それに続くセカンド「Subaqueous Silence-水響く-」が、ECMからのリリースとなった。

ジャケットがいかにもECM。

 

こうした名門からのリリースは、セールスや観客動員とは違う側面からの評価の証でもある。

彼女の今後の活躍に注目したい。

 

<了>