ジャズファンなら知らない人はいない、ドイツの名門レーベルECM。
1969年、ドイツ(当時は西ドイツ)のミュンヘンにて、マンフレート・アイヒャーによって設立された。
「静寂の次に美しい音(The Most Beautiful Sound Next To Silence)」をスローガンとして、ジャズと中心とした作品を次々にリリース。
オーディオ特性に優れた透明感のある音と、コンセプチュアルアートさながらの洗練されたジャケットデザインで人気を博した。
Chick Corea「Return To Forever」
Keith Jarrett「The Köln Concert」
など、ジャズ史上に残る名盤も数多い。
この名高きECMから、日本人として初めて作品をリリースしたのが菊地雅章。
2012年の「Sunrise」だ(録音は2009年)
1960年代から活躍してきた人だから、日本においてはこのときすでに巨匠。
名匠ポール・モチアン(ドラム)と若き実力派トーマス・モーガン(ベース)を従えてのトリオ作品だった。
菊地もモチアンも、すでに天に旅立っている。
日本人として、次にECMからリリースしたのはドラマーの福盛進也。
2018年の作品「For 2 Akis」だ。
福盛は、17歳で渡米して10年間アメリカで活動し、2013年、ミュンヘンに拠点を移した国際派で、作曲家としても高く評価されている。
そして2021年、3人目が現れた。
ピアニスト/コンポーザー、田中鮎美である。
田中は2011年にオスロに渡り、北欧を中心に活躍し、2016年にアルバム「Memento」でデビュー。
それに続くセカンド「Subaqueous Silence-水響く-」が、ECMからのリリースとなった。
ジャケットがいかにもECM。
こうした名門からのリリースは、セールスや観客動員とは違う側面からの評価の証でもある。
彼女の今後の活躍に注目したい。
<了>