山下達郎さんがMCを務める民放FMの長寿番組「サンデー・ソングブック」
2018年11月11日の放送の中で、リスナーから、沢田研二さんのコンサートキャンセルを前提にしたとおぼしき質問が寄せられ、達郎氏がこれに答えた。
質問
達郎さんがコンサートに臨むにあたり、ご自分の中での決まりごととかありますか。例えば音響がいまいちの会場ではやらないとか、観客が満員じゃないとやらない、とか。
達郎氏の回答
音響が悪いホールは実際にありますけどね。そういうところは、行かないようにしてます。
最近はお客さんが満員じゃないとって、そういうお便り多いんですけど(笑)
僕なんかは、やっぱり売れないバンドで始まったので、ソロになってようやく全国ツアーができるようになってからも3年近く、例えば2000人のキャパですと(観客の入りが)1200~1300っていう感じで、ずーっとやっておりました。
それでもいい方だと言われました。
人によっては、300、400から始めて少しずつ増やしていくという。やっぱり満員にするまで数年かかってと、みんな努力してきました。
今、現役で活躍してる僕らの同世代の方々は、みんなそういうことをやってますので。
ですので、観客が多いとか少ないとか、そういうものはですね、それぞれの解釈でありまして。
僕は、例えば一人でもやりますけども。
だからといって、だから今回のようなそういうことをですね、僕の個人的な意見を語る立場にはありません。
それぞれの方々の裁量……お客さんと、その表現者の方々の関係の中で考える問題であります。その程度で、許してください(苦笑)
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達郎さんが言う「お客さんと、その表現者の方々の関係の中で考える問題」というのは、正しいと思う。
沢田さんもおそらく、コンサートの中止は、自分とお客さん、事務所、プロモーター、いわば「内輪の関係の問題」であって、その中では自分の考えを通してもいい、お客さんもわかってくれるはず、と思っていたのではないか。
テレビのワイドショーなどで、これほど大きく取り上げられることは、まったくの想定外だったろう。
達郎さんは毎年のようにツアーをやっているが、チケットをとるのは非常に難しい。
それでも達郎さんは、決してアリーナなど大きな会場ではやらない。そんな場所には自分の音楽は似合わないし、お客さんを満足させるパフォーマンスはできないと考えているからだ。
なので、会場の大半は1500~3000人のホールで、いちばん大きなのはたぶん東京渋谷のNHKホールだが、それでも約3500人である。
結果、チケットはたいへん取りにくいわけだが、達郎ファンからは大きな不満の声は聞こえない。
それこそ、アーチストとファンの「関係」がきちんとできあがっているからだ。
※写真はそれぞれTOKYO-FMのサイト、山下達郎オフィシャルサイトより
#この項おわり