AORには根強い愛好家がいて、近年、再評価の機運が高まっているが、さてこのジャンルの新人はというと、なかなかでてこない。
時代を追って発展するタイプの音楽ではないけれど、ブルースやカントリー、ギターロックには有望な新人が出てきているから、いささか不思議ではある。
ロンドン発のAORデュオ、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスは良い作品をコンスタントにリリースしているけれど、デビューは2015年。
その次は、となると、彼らの程の注目株はなかなか見当たらないのだが、なんと、オランダから期待の新人が現れた。
MARTIN & GARP(マーティン&ガープ)というオランダの男性のデュオ。
メンバーはまったくの新人というわけではなく、フィル・マーティンはプロデューサー、ソングライターとしての実績があり、相方のロー・ヴァン・ガープはセッションシンガーとして活躍してきたという。
どういう経緯でこのタッグを組んだのかわからないけれど、2人ともウエストコーストサウンドに大きな影響を受け、それを自分流に展開しようとしているのは明らか。
音は爽快で抜けがよく、明るくキレのいいコーラスワークなど、日本人が思い描くところのビーチリゾート感が満載だ。
『SENTIMENTAL FOOLS』というタイトルも、いかにも、である。
ラーセン・フェイトンバンドの「Who'll Be The Fool Tonight」
マイケル・マクドナルドの「What a Fool Believes」
などのタイトルを思い浮かべるAORファンは多いだろうが、実際、音も近い。
ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスはイギリス。
このマーティン&ガープはオランダ。
なぜアメリカではなくヨーロッパで、とも思うが、AORのこうした優れた継承者が現れ、国内盤がリリースされることを素直に喜びたい。
この曲とか本当によくできている。
こちらはアルバムのティーザー
Martin & Garp - Sentimental Fools album teaser
<了>