おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック2022年2月27日『リクエスト特集』

曲の紹介部分を要約して記載しています(青文字は書き起こし)。ネットに音源があるものは貼り付けていますが、必ずしもオンエアされたものと同じではありません。

1. THE WAR SONG / 山下達郎 "2014.10.10 名古屋ボトムライン"
2. 1-2-3 / LEN BARRY '65
3. HOMBURG / PROCOL HARUM '67
4. FUNKY STREET / ARTHUR CONLEY '68
5. SPECIAL LADY / RAY, GOODMAN & BROWN '79
6. COMPANY / RICKIE LEE JONES "RICKIE LEE JONES" '79
7. SAYONARA / 高美以子 "SAYONARA" '57
8. 忘れないで / 山下達郎 '04


2月も最後の日曜日になりました。
先週、先々週と申し上げておりますが、アルバムが、そろそろ具体的に発売日等が決まる感じになってまいりました。
でもまだ『言うな』『できたと言うな』
最近のレコード・プロモーションは、なんか小出しにするっていうか、ちまちま出して、もういいじゃんっていう。
でもいいんです。ですので、言います。
発売日とか、そろそろ決める段階になってきております。
で、その間に他人に曲書いておりまして、それを作っております。
あいかわらずスタジオ暮らしでございます。

ですので、あいかわらずリクエスト特集で今週もお届けしたいと思っております。
たくさん、たくさん頂きまして。
ほんとに、読んでも、読んでも読み切れない、お応えしきれないリクエストの数、頂きまして。
「ちっともかからない」おしかりも頂いておりますが。
すいません。
1曲でも多く、1枚でも多く、今週もご紹介したいと思います。

リクエスト特集 4週目に突入いたしました。
とか言ってるときにですね、またウィルス騒ぎに重なって、戦いが始まってしまいました。
ウクライナの戦争でございます。

メディアがいろんなことを、ネット時代でもありますので。
海外もメディアがいろんなことを言っておりますけども、そんなに簡単な分析じゃないという。
年を取るとですね、もう裏の裏の裏という、360度くらいひっくりかえって、そういうものが垣間見えます。

ので、いわゆる大国と呼ばれるとろのですね、覇権争いというか、そういうようなものの犠牲になるのは、いつも市井で暮らしている人たちであります。
ほんとに、遠くの土地のできごとなので、心が痛みますけども、でも対岸の火事というには、最近の世界情勢、あまりにですねひっ迫しておりまして。
日本が、明日がどうなるかという、そういうようなものも、懸念されますけれども。
ここで、こんなこと申し上げても、あんまり足しになりませんのでですね、私は、私の役割の、こうしたラジオプログラムをやっていくという。
そのなかで、皆さんの心の癒し、リラクシゼーションとか、そういうものに貢献できればと思っております。

というわけで今日もリクエスト特集でお届けしますが、そういうご時世でございますので、私の1986年の「ポケットミュージック」に入っております「The War Song」
今日はライブバージョンでお聴きをいただいます。
2014年10月10日、名古屋のボトムラインでのライブレコーディング。
先日、アコースティック展で映像をご覧いただいたものの音でございます。
THE WAR SONG / 山下達郎

 

リクエストがはっきりと二分化してきた。
いわゆるヒット・ソング、一方で、CDになってない音源などカルトな曲。
カルト、カルトで行くのもかったるいし、うざい。
今日は順当に60年代、70年代のヒット・ソングを集めて。
レン・バリーは元ダベルズ。
ドゥーワップ・グループのリード・ヴォーカルからソロになって、1965年に放った大ヒット・ソングがフィラデルフィア・サウンドの「1-2-3」。
1-2-3 / LEN BARRY

 

またまた訃報が入ってきました。
2月19日にプロコル・ハルムのリード・ヴォーカル、ピアノ、作曲のゲイリー・ブルッカーが亡くなってしまいました。
76歳、まだ若いですね。
私、プロコル・ハルムの初来日のときに武道館に観に行きました。
当時のデラム・レーベルのライヴだったのでテン・イヤーズ・アフターとのジョイントだったんですけども。
客ダネが悪くてですね。
プロコル・ハルムが先に出たんですが、客の手拍子がでたらめで、それでゲイリー・ブルッカーが「Take it easy!」とかなんか怒って。
それをすごく記憶してます。
その後に出たテン・イヤーズ・アフターは、バック・ステージから客が飛び降りて、それでコンサートが中止になったという。
あの頃のロックというと、なんか大衆騒擾と言いましょうか、集団騒擾と言いましょうか、そういうものの欠点が顕わな、武道館だったんですけども。
でもプロコル・ハルムの演奏が素晴らしかったのが、すごく印象に残っております。
なんといっても「青い影」
私が人生で感動した三大名曲の一曲でございます。
リクエストいただいておりますが、へそ曲がりの私は「青い影」じゃなくて、違う曲にしたいと思います。
「青い影」に続いてセカンドヒット、1967年、全英6位でございますけども全米は34位。
UK色が強いと、当時のアメリカは、うーんという感じですが、でも、すごくいい曲であります。
HOMBURG / PROCOL HARUM

 

 


アーサー・コンリーはアトランタのリズム&ブルース・シンガー。1968年のアルバム『SOUL DIRECTIONS』からのシングル・カットで、全米R&Bチャート5位、全米14位の作品。
FUNKY STREET / ARTHUR CONLEY

 

レイ、グッドマン&ブラウンは元モーメンツのメンバー。名前を変えて出したら大ヒット。1979年、全米ソウル・チャートNO.1、全米チャート8位のミリオン・セラー。
SPECIAL LADY / RAY, GOODMAN & BROWN


1979年のリッキー・リー・ジョーンンズのファースト・アルバム『RICKIE LEE JONES』はプラチナ・アルバム。死ぬほど聞いた、名盤中の名盤。
ここから渋いところで、B面ラストから2曲目の「COMPANY」。
COMPANY / RICKIE LEE JONES 

 

 


リスナーから『自分のなかでも記憶が薄れ、名前の読み方も何と読むのかわからない歌手というか俳優さんの曲です。57年頃の公開映画の主題歌だったと思います。読み方が分からない歌手名が「高美以子」』
これ「たか みいこ」さんという方です。
『他に有名な歌手の作品と共作だったとか、こんな聞いたこともない俳優さんの曲の音源などを保存されているのでしょうか。達郎さんしか答えは出せないと思います。迷惑をおかけしますが、よろしゅうに。』
1957年のアメリカ映画で『SAYONARA』という映画があります。
これはアメリカで結構ヒットした映画で、マーロン・ブランドが主演しまして、ジョシュア・ローガンが監督の、わりと有名な作品であります。
これに出演しましたレッド・バトンズとかナンシー梅木さん、これは「ミヨシ・ウメキ」という名前で出てた時代ですけども、この人たちは、アカデミーの主演賞をとったりしております。
朝鮮戦争から帰っきたマーロン・ブランドが、日本人の女性に恋をする。
でも当時の米軍は日本人との結婚を禁止だという、そういうような悲恋の物語で映画が展開されいくという作品です。
今観るとですね、日本語の表現が変なところもあるんですが。
女性の主演をしていた人が、高美以子(たかみいこ)さんという方で、このひと、日系2世です。
アメリカ・カリフォルニア生まれの日系2世の人で、映画界に出てきまして、この「サヨナラ」というので有名になった人で。
その後にも、三船敏郎さんと共演しました「将軍 SHŌGUN」、それから「Lost Horizon 失われた地平線」、いろいろ出演作があります。
このなかでサウンド・トラックの中で高美以子さんが「SAYONARA」という、これはアーヴィング・バーリンが作詞・作曲の曲ですが、この映画のために作られた曲ですけども、この歌を歌っております。
ぼく、このオリジナルサウンドトラックの、さすがにこのへんになってくるとLPしか持ってないので、音がちょっと悪いんですけども(笑)
CDがないんですけども、それでもコンディションのいいアルバムを持っておりますので、今日は、これからお聴きをいただきます。
映画「SAYONARA」のオリジナルサウンドトラックから高美以子さんの歌う「サヨナラ」
この「サヨナラ」っていう曲は細野晴臣さんがとっても詳しいと思います。
細野さんの方にお便りすると、またもっと違う話が展開するかもしれません。
どうぞ細野さん、よろしく。
SAYONARA / 高美以子

 

リスナーから『3月2日で80歳を迎える母が、達郎さんの曲のなかで一番好きな「忘れないで」をお願いします。母も達郎さんの新しいアルバムを心待ちにしております』
もう少々お待ちください。
お元気で。
2004年の私のシングル。
50代になったばっかりで、この先、声がどれくらい持つかと思ってですね、今のうちに高い曲の歌をつくっておこう。
カンツォーネだ、といいて作ったのが「忘れないで」という曲です。
おかげさまで、あれから20年近くたちますが、まだなんとか歌えております。
忘れないで / 山下達郎

<了>