おとのほそみち

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ピンク・フロイドのニック・メイスンのバンドがライブアルバムをリリース

 ピンク・フロイドのドラマーであるニック・メイスンが結成したバンド、ソーサーフル・オブ・シークレッツが、ライブアルバム『LIVE AT THE ROUNDHOUSE』をリリースした。

このバンドが取り上げているのは、ピンク・フロイドの初期~サイケ期の作品で、年でいえば1967年から72年までの約5年間。作品でいえば『狂気』の前の『雲の影』までになる。

5年間とはいえ、このころのフロイドは1年に1枚どころか、2枚リリースした年もあるので、全部でオリジナルアルバムは7枚もある。

1967年『夜明けの口笛吹き』(The Piper At The Gates Of Dawn)
1968年『神秘』(A Saucerful Of Secrets)
1969年『モア』(More)
1969年『ウマグマ』(Ummagumma)
1970年『原子心母』(Atom Heart Mother)
1971年『おせっかい』(Meddle)
1972年『雲の影』(Obscured By Clouds)

あとでライブ盤の曲目を記すが、大半がこの中からの選曲だ。

 

このライブ盤は、19年5月にロンドンのラウンドハウスで行われたライヴを収録したもので、2020年4月にリリースされる予定が、新型コロナ感染症の影響で延期。9月になって、ようやくリリースされた。

当のピンク・フロイドは実質的に解散状態だから、こうした作品が出るのは、ファンとしては嬉しい限りだ。

メンバーはメイスンのほか5人。
フロイドのツアーメンバーだったベースのガイ・プラットをはじめ腕利きが揃っていて、演奏は手堅く余裕が感じられる。

やや意外というか、意表を突かれたのが、ギターのゲイリー・ケンプ。
スパンダー・バレエのメンバーでヒット曲「True」「Gold」の作曲者だ。

だが少し考えてみれば、サイケ期のフロイドとスパンダー・バレエのサウンドには近しい点もあり、単に腕のいいセッションマンよりは、こうした美意識をもったアーティストをメイスンは選んだということだろう。

オリジナルに近いスタイルでの演奏もあれば、かなりアレンジされたものもあり、それぞれに楽しめる。

なかでも注目は「Vesitable Man」
これはシド・バレットの幻の作品と言われ、16年に出たボックスセット『EARLY YEARS 1965-1972』で初めてオフィシャルに登場した。
過去のフロイドのライブで演奏されたことはないらしいこの曲を、あえて取り上げるあたり、単に昔を懐かしむのではないメイスンの意気込みが感じられる。

日本に来ないかなあ......


Nick Mason's Saucerful Of Secrets - Fearless (Live At The Roundhouse)


Nick Mason's Saucerful Of Secrets - Astronomy Domine (Live At The Roundhouse)


Nick Mason's Saucerful Of Secrets - See Emily Play (Live At The Roundhouse)

 

Live at the.. -CD+DVD-

Live at the.. -CD+DVD-

 

 Amazonのレビューも100件以上あって評価は高い。みんな待ってたんだな、こういうの。

 

[DISC1]
1 Interstellar Overdrive/星空のドライブ(1967『夜明けの口笛吹き』)
2 Astronomy Domine/天の支配(1967『夜明けの口笛吹き』)
3 Lucifer Sam/ルーシファー・サム(1967『夜明けの口笛吹き』)
4 Fearless /フィアレス(1971『おせっかい』)
5 Obscured by Clouds/雲の影(1972『雲の影』)
6 When You’re In/ホエン・ユーアー・イン(1972『雲の影』)
7 Remember A Day/追想(1968『神秘』)
8 Arnold Layne/アーノルド・レイン(1967 1st Single)
9 Vegetable Man/ヴェジタブル・マン(アルバム未発表、The Early Yearsで初収録)
10 If/もしも(1970『原子心母』)
11 Atom Heart Mother/原子心母(1970『原子心母』)
12 If(reprise)/もしも(reprise)(1970『原子心母』)
13 The Nile Song/ナイルの歌(1969『モア』)

[DISC2]
1 Green Is The Colour/グリーン・イズ・ザ・カラー(1969『モア』)
2 Let There Be More Light/光を求めて(1968『神秘』)
3 Childhood’s End/大人への躍動(1972『雲の影』)
4 Set The Controls For The Heart Of The Sun/太陽讃歌(1968『神秘』)
5 See Emily Play/シー・エミリー・プレイ(1967 2nd Single)
6 Bike/バイク(1967『夜明けの口笛吹き』)
7 One Of These Days/吹けよ風、呼べよ嵐(1971『おせっかい』)
8 A Saucerful Of Secrets/神秘(1968『神秘』)
9 Point Me At The Sky/青空のファンタジア(1969 5th Single)

<了>