テンプテーションズ(The Temptations)は長年在籍していたMotownを離れ、Atlanticに移籍していた時期がある。
1977年に「Hear to Tempt You」
1978年に「Bare Back」
という2枚のアルバムをリリース。
しかし全米R&Bチャートで、38位、46位と、いまひとつパッとしなかった。
これが新人なら立派な成果だが、Motown時代は、出せば1位があたりまえだったグループなのだから、やはり物足りない。
Atlanticに移籍するとき、リードヴォーカリストだったデニス・エドワーズを解雇。
新しいリードヴォーカリストにルイ・プライスを迎えていたのだが、結果が伴わなかった。
そしてテンプテーションズは、Motownに戻ることになる。
ルイ・プライスはグループを去り、ドリフターズに加わった。
そして、デニス・エドワーズが復帰する。
Motown復帰第一作のアルバムが、1980年リリースの「Power」である。
全米R&Bチャートで13位だから、なかなかの好成績。全米でも45位まで上がった。
1曲目、アルバムと同タイトルの「Power」は、リードシングルでR&Bチャート11位のヒット。
起死回生を期してチカラを入れたと思うが、アルバム全体としては、わりとゆったり自然体といった印象。
デニス・エドワーズだけでなく、グレン・レオナルド(Glenn Leonard)、リチャード・ストリート(Richard Street)の歌もなかなか聴きごたえがある。
曲のインパクト、完成度は、1970年代の諸作品には及ばない、というのが正直な感想だが、それでも、シングルの「Power」は、意表を突く地味な低音アカペラからはじまって、ストリングスを絡めながら盛り上がっていく感じが俊逸だ。
ラストのアッパなーファンクチューン「I'm Coming Home」もいい。
このタイトルは「Motownに帰ってきたぜい!」ということだろうか。
デニス・エドワーズの熱気あふれるエネルギッシュなヴォーカルが堪能できる。
ちなみに、何でAmazonのアナログLPへのリンクを貼っているかというと、現在CDは手に入らないから。たしか1980年代半ばにCD化されたのだが、以後リイシューされていないのだ。
だけど、Spotifyなどサブスクでは聞けるので、お探しください。
<了>