番組中の曲紹介のコメントを要約して記載しています。

1. グルックの主題によるアカペラ
2. ベラ・ノッテ
3. ビー・マイ・ラヴ
4. グローリア
5. 煙が目にしみる
6. サイレント・ナイト
7. マイ・ギフト・トゥー・ユー
8. イッツ・オール・イン・ザ・ゲーム
9. ジャスト・ア・ロンリー・クリスマス
10. ハッピー・ホリデイ
11. ブルー・クリスマス
12. ホワイト・クリスマス
13. クリスマス・イブ (イングリッシュ・ヴァージョン)
14. ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス
15. 神の御子は今宵しも
今週、11月26日、ムーンレコードのアナログカセット再発シリーズ第6弾「SEASON’S GREETINGS」
今から32年前、1993年に発売しました私のクリスマス企画のアルバムであります。
89年90年あたり「クリスマス・イブ」がいきなり大ヒットになりまして、その余波で、「じゃあ、クリスマスアルバム作っちゃおう」とそういう軽い気持ちで始めましたけれども。
なかなか今聴くとですね、色々とこう、思い入れがたくさんあります。
このアルバムは、変なアルバムでして。
クリスマス・アルバム数あれど、こういうのはちょっと他にはありません。
私の1人多重アカペラとオーケストラ、そういう配分で作っております。
で、厳密な意味でのクリスマスアルバムというわけではありません。
クリスマス全然関係ない曲も混ざっておりますので、ま、クリスマスシーズンに聴いていただける企画アルバムという形で作りました。
まずはアカペラで始まります。
18世紀のオーストリアの作曲家、グルックの4声体のスコアを使ったアカペラ。
グルックの主題によるアカペラ
私が生まれて初めて見たディズニー作品が「わんわん物語」という、1955年のアニメですけれど。これを幼稚園の時に見て、いたく感動しまして。
この物語は、クリスマスに始まってクリスマスに終わるという、そういうストーリーであります。
2匹の犬の恋物語で、物語の途中でこの2匹がイタリアンレストランでデートをするんですが、この時にレストランの親父が、この2匹のために歌を歌ってくれる。これが「ベラ・ノッテ」。
この曲が本当に好きで、40近くなってアカペラに仕立てて、この「SEASON’S GREETINGS」のトップに収録しました
ベラ・ノッテ
頭の2曲は1人アカペラですけども、3曲目から、いよいよオーケストラが入ってまいります。
このオーケストレーションを担当していただいたのが、服部克久先生でございまして。
私は若い頃からテレビを見ておりますと「あ、綺麗なアレンジだな」と思うのは全部服部さんのアレンジで、サウンド・イン”S”ですとか、ミュージックフェアですとか。
いつか一緒に何かやってみたいなと思っておりましたけども、80年代にそれが叶いまして。
色々トライをしていく中で、ちょうどこの93年に、服部克久先生とがっぷり四つで仕事することができるようになりました。
A面の3曲目に入っておりますこれは、1950年、アメリカのマリオ・ランツァというシンガーによって大ヒットした作品であります。
これ自体はクリスマスとは何の関係もないんですけど、とにかくこれやりたかったというですね、そういう衝動で。
ビー・マイ・ラヴ
このオーケストラの作品を服部先生にお願いする時に、一番お願いしたのが、ドラム抜きのトラックでやってほしいと。
ドラム入れますと、どうしても、何て言いますか、時代性が出ます。
特に録音の問題で出ますので、ドラム抜くことによって、クラシックの響きに近くなりますので。
それが時の試練に耐えうる作品となると考えで、そういう具合にお願いしました。
だから全曲ドラムが入っておりません。
ですので、アカペラとオーケストラ、ドラム抜きという、そういうやつでありました
この後の素材は賛美歌が出てきます。
私、元々幼稚園がキリスト教だったので、日曜学校も行っておりまして、主の祈り、今でも言えます。「天にまします我らの父よ」。
ですので、賛美歌はすごく馴染みが深くて、コーラスのスタジオミュージシャンやってた時代に、色々そういうものを買い込んで、ま、勉強というか。
先ほどのグルックのやつもそんな中から探して出して来たんですけども。
A面の4曲目に入っております、賛美歌の106番と呼ばれる「荒野の果てに」、「グローリア」とも言われますけれど。
フランスの聖歌が元の曲であります。
これに続きまして、またオーケストラが出てきます。
1958年の黒人ボーカルグループ、プラターズ。
プラターズのナンバーワンヒット「煙が目にしみる」
「Smoke Gets in Your Eyes」という、私たち世代に大変有名な曲ですけども。
元々はすごく古くて、1933年のミュージカルの曲であります。
20代の終わり頃から、この曲がなんか妙に耳に入ってきて、すごく好きになってきまして。
もうこれは本当に楽曲としての完璧な構成を持った曲だと思います。
1回やってみたかった念願が叶いまして。
これを服部先生にですね、フランス近代のオケで。
服部先生は、パリのコンセルヴァトワールの出身の方なので、そうしたフランス近代のでやってくださいつって。
で、スタジオ行きましたら、「達郎の好きなフランス近代でやってやったぞ」って(笑)。
イントロが意表を突くんです。ヴィオラとチェロの掛け合いで始まるという。
もう、びっくりしましたけども、素晴らしいスコアです。
まだ40前なので、ちょっと気負ってますね、歌が(笑)。
お次も賛美歌であります。賛美歌109番「きよしこの夜」。「Silent Night, Holy Night」。
1983年に「メロディーズ」の アルバムを出しまして、「クリスマス・イブ」が入っておりまして、季節商品なのでシングルで出そうという時に、B面が必要になりまして。
その時に作ったのが「ホワイト・クリスマス」のアカペラであります。
それをステージ用に使ったんですけども評判良かったので、じゃあもう1個やろうって作ったのが、この「サイレント・ナイト」。
これは1986年の「ON THE STREET CORNER 2」に収録しております。
そこから持ってきて、この「SEASON’S GREETINGS」に入れました。
1983年に「ホワイト・クリスマス」をアカペラでレコーディングした時は、まだコンピューターがなくて、口三味線みたいな形でカウントを入れてやってたんで、こうしたテンポコントロールがすごく難しかったんですけど。
この「サイレント・ナイト」を作った、85、6年になりますと、もうコンピューターミュージックの時代になってきて、タッピングで微妙なテンポが作れるようになってきて、より縦の線が合うようになったっていう、そういう思い出があります。
で、このアルバムは1993年のアルバムなので、なんか新しい曲、80年代の曲を入れたいなと思って色々探したんですけど、なかなかいいのがなくて。
結局行き着いたのがアレクサンダー・オニール。
88年のクリスマスアルバムに入っておりました。
ジミー・ジャムとテリー・ルイスのいい曲なんで、これをアカペラ仕立てでやりました。
なかなか自分なりに、結構いい出来だといまでも思っております。
このトラックは、いわゆる跳ねてるっていうか、スイングしてるビートなので、アカペラをやる時には1日で全部録りきっちゃわないと、縦の線がずれるんですよね。
で、その跳ね方を初めからきっちり決めないと、おしまいのほうになってだんだんずれてくるんで、それ合わせるのがものすごい難しくて。
1日目やったやつが全然ダメで、2日目でオールクリアしてもう1回やったんですけどダメで、結局3回やり直した。
で、ようやくできたという。マイ・ギフト・トゥー・ユー
次がA面の最後になります。
服部先生のオーケストレーションで全部やる予定だったんですけども、何曲かアメリカで録ろうということになりまして、数曲録りました。
で、アレンジしたのはトリー・ジトーっていう、ヘレン・メリルの旦那さんです。
その人に数曲頼んだんですけども、ちょっと自分のテイストと違ったので、結局この1曲だけ採用になったといういきさつです。
この曲は「イッツ・オール・イン・ザ・ゲーム」という、チャールズ・ドーズという、アメリカの副大統領になった人なんですけども、その人の1912年の作品なので、100年以上前の曲ですけども。
1958年にトミー・エドワーズが大ヒットさせました。
で、僕はトミー・エドワーズのバージョンじゃなくて、1972年のママス&キャス・エリオットのアルバムの中に入ってるバージョンがとっても好きで。
それが高じて、この「SEASON’S GREETINGS」に、収録しました。
これもクリスマスとは全く関係ありませんけれども、私の好きな作品。
この「SEASON’S GREETINGS」にもドゥーワップ作品が入っております。
ドゥーワップの世界でもクリスマスソングはたくさん存在しております。
色々聴いた中で、私の最も好きな2曲。
まずはシカゴのR&Bのグループ、ムーングロウズ。
あまりにも有名なグループですけども、このムーングロウズの53年の作品、「ジャスト・ア・ロンリー・クリスマス」を1人アカペラでやりました。
この時代の私の歌、あんまり寂しそうじゃなくなってしまうっていう。暗い曲でも明るく聞こえるって、因果な。
で、続きまして、こちらはニューヨークのドゥーワップグループ、シェルズ。
大変有名なグループですけども。
この人たちの、これはもう明るいクリスマスっていう曲です「ハッピー・ホリデー」。
B面3曲目は服部先生のオーケストラに戻ります。
曲は「ブルー・クリスマス」という、この曲はエルヴィス・プレスリーのヒット曲としてとても有名であります。
悲しい歌ですけども、やっぱり私が歌うとちょっと明るく聞こえてしまう.
先ほど申し上げましたみたいに、83年に「クリスマス・イブ」っていう曲を作りまして、それをシングル化する際にB面として作ったのが「ホワイト・クリスマス」ですけども。
その「ホワイト・クリスマス」のファーストバージョンは、テンポ・コントロールを口でやってるので、なかなかこう、縦の線がきっちり揃わないんです。
で、あんまり気に入らなかったので、86年に再録をしました。
「ON THE STREET CORNER 2」を作る時に。
それはコンピューターでテンポチェンジをしておりますので、すごくスムーズに、できまして、今でもそのテイクがOKテイクになっております。
もちろんこの「SEASON’S GREETINGS」でも、そのテイクを使っております。
続いて「クリスマス・イブ」が登場しますが英語版です。
元々、90年代の頭に、クリスマス用のビデオを作りまして。
私が作ったというか、レコード会社が作ったんですけど(笑)
それのために、アラン・オデイに頼みまして、私のオリジナルの詞にかなり忠実に作ってくれました。
いつもそうなんですけども。
考えたら服部先生もアランも、もう、この世にいないという、時の経つのは本当に早いものだという感じですが。
作品はいつまでも残りますので。
これに続いて登場するのが、「Have Yourself a Merry Little Christmas」。
この曲は私、色々なクリスマスソング、数ある中で一番自分が好きな曲で。
このトラックは、服部克久さんと最初にトライしたトラックでありまして、89年か90年ぐらいに作ったんですけど、それがあまりに良くってですね。
じゃあこれでクリスマスアルバムやってみようっていう。
初めはこの「SEASON’S GREETINGS」、全部アカペラでやろうという企画もあったんですけども、服部先生のこのオケがあんまりいいんで。
じゃあフルオケでやってみようということになりました。
この「Have Yourself a Merry Little Christmas」は、ジュディ・ガーランドで有名な曲ですけども、1943年の曲でありまして。
先ほどの「ホワイト・クリスマス」は1942年、すなわち太平洋戦争まっただ中で作られてる曲です。
で「ホワイト・クリスマス」もこの「Have Yourself a Merry Little Christmas」も、戦地の兵士が故郷を思って聴いたという、それがメガヒットに繋がったという、そういう背景があります。
43年でこういう作品が作れるっていう、この国力の差というか、もう、思い知らされますね。本当に。
それは余談でありますけれども。
クリスマスアルバムを作る時に、私クリスチャンじゃないので、アルバムを作る意味がどこにあるのかと色々考えてみたこともありまして。
アメリカの音楽、ブルース、リズム&ブルース、ジャズ、それからカントリー、いろんなものありますけれども、そういうものを聴いていきますと、特に私のアイドルだったラスカルズというグループはカトリックなんで、イタリア系アメリカ人なので、そうしたものに対するシンパシーっていうのが、はっきりあります。
だから、精神的には、クリスチャンになると言えばいつでもなれるような、そういうような文化というものが、このアメリカの文化、それからヨーロッパの文化というものがすごく影響を受けておりますので。
そういうものに対する敬虔なですね、敬意と言いましょうか、そういうものがあれば、今リスペクトなんて言いますけども、敬意があればいいんじゃないかということで、このアルバムの1番最後は、賛美歌111番と呼ばれております「神の御子は今宵しも」を最後に持ってきました。
これ非常にクリスチャニティに溢れた歌でありまして。
元々がフランスのキャロルで。原題が「信仰厚き者たち、皆来たれ」という。
素晴らしいメロディー持ってる曲です。
音楽とキリスト教が、ほんとに密接な関係がありますので、これを最後に持ってきて、アルバム「SEASON’S GREETINGS」を締めております。
LPとかカセットというアナログメディアで聴きますと、柔らかい音ですので、お楽しみいただけると思います。
時間の試練に耐えるということを最優先して作っておりますので、いつまでも、お楽しみいただきたいと思います。
アルバム「SEASON’S GREETINGS」特集でございました。
ご清聴ありがとうございました。
![SEASON'S GREETINGS (2025 Vinyl Edition) [完全生産限定] (特典なし) [Analog] SEASON'S GREETINGS (2025 Vinyl Edition) [完全生産限定] (特典なし) [Analog]](https://m.media-amazon.com/images/I/41WWT8Hg--L._SL500_.jpg)