おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2019年11月10日「リクエスト特集」書き起こし

 

達郎氏による曲の解説部分を書き起こしています。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。 ネットに音源があるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

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1. RECIPE(レシピ) / 山下達郎
2. MIDNIGHT AT THE OASIS / MARIA MULDAUR '74
3. SHE'S NOT LIKE ANY GIRL / THE GIBSONS '67
4. AIN'T LOVE WONDERFUL / THE FANTASTIC FOUR '67
5. A WOMAN OF THE WORLD / LAURA NYRO '93
6. WIVES AND LOVERS / ANDY WILLIAMS  '64
7. HOT SMOKE AND SASAFRASS / BUBBLE PUPPY '69
8. いつか(SOMEDAY)(LIVE) / 山下達郎 14/10/10 名古屋 BOTTOM LINE

 

ただ今放映されておりますTBS系日曜劇場「グランメゾン東京」
木村拓哉さん主演のドラマでございますが、これの主題歌を、私、山下達郎が担当しております。
タイトル「RECIPE」
この間、ずっとテレビサイズで、ショートバージョンでお聴きを頂いてきましたけれども11月27日にシングル発売をいたします。
で、シングルですので、カップリングなんですけれども、今やっておりますツアーのライブ音源使いました。
Performance2019、ライブバージョン「サウスバウンド #9」
20年前「COZY」というアルバムに収めた曲ですけれども、長いことですね、ライブで演奏ができないという。
実際に練習したんですけど、なかなかできなかったんです。
それが最近は、できるようになりまして。
めでたくライブ演奏、今年初めて人前で演奏する作品になります。
ライブがまだ1本残っている段階で発売するんですけど、まぁ、気は心でございまして。
あんまり理由になってない(笑)
そういうことでございます(笑)
何がそういうことかわかりませんけれども(笑)
11月27日発売ニューシングル「RECIPE」
もうドラマご覧になった皆さまは、よくお分かりだと思いますけれども、フランス料理の話で、そこにちょっと寄せた感じ。
あとは、大人の割と緊張感のあるドラマなので、音楽はちょっと優しめに作ってみました。



MIDNIGHT AT THE OASIS / MARIA MULDAUR '74

マリア・マルダーの1974年の「真夜中のオアシス」、まあこの人、これが最大ヒットというか、ワンヒットワンダーに近いですが、全米4位。
この曲はエイモス・ギャレットのギタープレイにみんなショックを受けました。
特に日本では評判が良かった一曲です。
ドラムがジム・ゴードン、プロデュースはレニー・ワロンカー、ストリングスはジャック・ニッチェという、このころの「ああそうか」という。
もともとジム・クウェスキン&ザ・ジャグ・バンドのメンバーで、ジェフ・マルダーと結婚してマリア・マルダーになりました。不思議なちりめんというか「ぇぇぇ」というあれですが、誰でも好きな「真夜中のオアシス」

 

リクエスト特集なんですが、一曲だけ紛れ込ませた棚からひとつかみ。
最近買ったCDで一番気に入ってるやつ。ようやく出たという、ギブソンズ。
イギリスの4人組で素晴らしいハーモニーのグループですけれど、なかなかCD化されませんで、ようやく全曲CD化されました。
ギブソンズとシンバラインという、こちらは5人組ですけど、ハーモニーグループを抱き合わせまして、それぞれ14曲ずつ、リリースされた全作品をCD化しまして、ティーンズヴィルという最近ライノに勝るとも劣らないCDの発掘レーベルがありますが、ここから出ました。
うれしさのあまりかけてしまいます。
1967年、これは日本盤が出たので私は知っているんですが、全然ヒットしませんでしたが素晴らしい曲です。
曲を書いているのがジェフ・タートンというロッキン・ベリーズの人で、名曲たくさん書いていますが、この曲も名曲。ロッキン・ベリーズでも作品化されてますが、こちらのバージョンの方が優れてます。「SHE'S NOT LIKE ANY GIRL」、邦題は何だったかかな、「ただひとりの君」かな。

SHE'S NOT LIKE ANY GIRL / THE GIBSONS (音源なし)

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お次は、濃いところをご所望で、ザ・ファンタスティック・フォー。
デトロイトの黒人ヴォーカル・グループです。
リックティックというデトロイトのインディーから何曲かヒット曲がでましたが、モータウンにレーベルが買収されまして、飼い殺しモータウンとして有名なので、そこで飼い殺しにされまして、ヒットはぱたっと出なくなりました。
でも実力は素晴らしい。
デビューヒットの「THE WHOLE WORLD IS A STAGE」、これは1967年の全米R&Bチャート6位まで上がって、全米でも63位のスマッシュヒット。そのB面なのでコンピにも入らない可哀そうな曲ですが、出来はいいです。

AIN'T LOVE WONDERFUL / THE FANTASTIC FOUR

 

次はローラ・ニーロの「A WOMAN OF THE WORLD」
1993年の10年ぶりの新作、素晴らしいアルバムですがこれに入ってます。
『WALK THE DOG AND LIGHT THE LIGHT』、このアルバムの2曲目でもちろん彼女の自作です。
メンバーも錚々たるもので、バーナード・パーディ、フレディ・ワシントン、エリオット・ランドール、マイケル・ランドウ。ニューヨークサウンドです。
訳詞しようとしましたが、難解な詩なのでやめました。

A WOMAN OF THE WORLD / LAURA NYRO

私は愚かな少女だったけれど今はもう成熟した大人だという女性の成熟に対する歌です。
『WALK THE DOG AND LIGHT THE LIGHT』、犬の散歩はお願いね、そして明かりはつけておいてというアルバムから。
私、このあと来日したとき追っかけまして、大阪、名古屋、ずっと追っかけまして、名古屋の最終公演のあと中華料理屋で二人で飲んだくれて、そのとき撮った写真は二人とも酔っ払った顔ですが、いろんないい話を聴けました。思い出とともにある一枚です。

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(「アンディ・ウィリアムスがバート・バカラックの曲を録音した作品を教えてほしい」というリクエスト)ぱぱっと調べましたら何曲かあります。
「Alfee」、『Born Free』というたいへんヒットしたアルバムがありますが、それに入ってます。
あとは「Look of Love」をやっています。『Born Free』の次のアルバ『ムLove, Andy』どちらも67年のアルバムで、どちらもゴールドアルバムです。
あとは70年のずばり『Raindrops Keep Fallin' on My Head』というアルバムがあります。
リクエストくれた方が仰っている「Don't You Believe It」はシングルカットされています。ほかは全部カバーですので、全部アルバムと。
コロンビアはこの頃クライヴ・デイヴィスの方針で、新しい作家をたくさん歌えと、アンディ・ウィリアムス、ジョニー・マティス、そういう人たちが、ジム・ウェッブ、ロジャー・ニコルズ、バカラック。
今日は1曲おかけしましょう。
1964年のアルバム『THE WONDERFUL WORLD OF ANDY WILLIAMS』という全米9位まで上がったアルバムですけど、これに入ってますバカラック作品としてはたいへん有名な1曲です。

WIVES AND LOVERS / ANDY WILLIAMS


「WIVES AND LOVERS」といえば、ジャック・ジョーンズがでグラミーを獲ったあれですが、アンティ・ウィリアムスも歌がうまいので。
旦那様が浮気しないように、ちゃんときれいな格好をして家で待って、帰ってきたら彼の腕に飛び込んで、身だしなみを整えて、という歌。
今のジェンダー、あれからすれば、眉をひそめるような。でもまぁそういう時代ですから。50年以上前ですから。


しつこくいただいたリクエスト。バブル・パピー。
テキサス、ヒューストンのサイケデリック・ロック・バンド。いわゆるワン・ヒット・ワンダー、1曲ヒットの人たちですが、カルトな人気を誇ります。
1969年、全米14位の「HOT SMOKE AND SASAFRASS」

HOT SMOKE AND SASAFRASS / BUBBLE PUPPY

 


というわけで、今日の最後は2014年10月10日、名古屋のボトムラインでのライブバージョン。
アンコールの一番最後で1曲だけ残った曲でやりました。(笑)

いつか(SOMEDAY)(LIVE) / 山下達郎 14/10/10 名古屋 BOTTOM LINE(音源なし)

 

<この項おわり>