おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



1980年代のブリット・ファンクを2020年型にアップデイト 『ASPECTS / STR4TA』(2021)

 

いきなりだが、名前が良くない。

STR4TA、どう読むのかすぐにピンとこない。

実際には「ストラータ」だそうだ。


2020年にシングル「Aspects」がリリースされて話題になったが、いわば覆面状態で、アーティストの実態はわからないまま。

それが蓋を開けてみれば、超大物2人によるユニットだった。

アシッド・ジャズの生みの親として、世界のクラブシーンに絶大な影響を及ぼしてきたDJ、ジャイルズ・ピーターソン。

アシッド・ジャズ、ジャズ・ファンクの頂点に立つインコグニート(Incognito)のリーダー、ブルーイ。

元々アシッド・ジャズ全盛期の2人は、トーキング・ラウドというレーベルのオーナーと所属アーティストという間柄だった。盟友といってもいい。

改めてタッグを組んで何か目新しいことをやったのかというと、基本は“1980年代のあの頃”のブリット・ファンク(ブリティッシュ・ジャズ・ファンク)。

日本ではシャカタクやレヴェル42でよく知られるように、アメリカのファンクとは少し違って、洒脱で洗練感があるのが特徴。
俗に言うアーバンなサウンドと言いますか。耳馴染みがよく聞きやすい。

そのブリット・ファンクがSTR4TAの基本ではあるのだが、ただ懐かしいだけの響きではなくて、アレンジやエンジニアリングは、2020年らしい音になっている。

そりゃまあそうだ。
ただ懐かしい音が欲しければ、当時のアルバムを引っ張り出して聞けばいいのだから。

インコグニート、シャカタクやレヴェル42あたりが好きな人には、当然おすすめ。


ところで、ブルーイが某インタビューで名前の由来を語っている。
「宇宙っぽいというか、アウタースペースのイメージだね。この言葉には“雲のレイヤー”みたいな意味もある。若いスタッフが“Aを4にしよう”と提案してくれたりして、結果的にこうなったんだ。」

やっぱりよくわからない。

 

<了>