おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



「明日に架ける橋」から半世紀が経った

 


2019年は、ビートルズの「アビー・ロード」がリリースから50周年ということで、50周年記念スーパー・デラックス・エディションが世に出された。

ビートルズの育ての親であるジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティンが新たにミックスした2019年版のステレオ・ミックスCD、デモ音源などを収めた2枚のCD。
そしてBlu-rayオーディオには、アルバム本編「2019ステレオ・ミックス」のハイレゾ音源に加え、5.1chサラウンド・ミックスのDTS-HDマスターオーディオ、更には最新のドルビー・アトモスによるミックスを収録しているという豪華版だ。


さて、今年2020年は、サイモン&ガーファンクルの名盤「明日に架ける橋」のリリースから50周年だから、当然、なんらかの企画を期待したくなる。

と思っていたら出た。

未発表ライブ音源4曲を収めたミニアルバム「Live at Carnegie Hall 1969」
ストリーミングオンリーでのリリースである。

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収録曲は「ボクサー」、「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」、「ソング・フォー・ジ・アスキング」、そして「明日に架ける橋」。

1969年11月27日と28日、カーネギーホールでのライブだ。

「明日に架ける橋」のアルバムの録音は終えたけれども、まだ発売はされていない、というタイミングなので、新曲お披露目のような意味があったのかもしれない。

2008年に発掘リリースされた「ライヴ1969」にも、そのライブで収録された「明日に架ける橋」が入っているのだが、その録音は28日。

今回リリースされたのは、27日収録なので、初めて客の前で披露した「明日に架ける橋」だった可能性は高い。

のちにアメリカのポップス史上に輝く名曲になるのだが、このときはまったくの新曲。

もちろん観客は誰一人知らない。

あの有名なピアノのイントロが流れても、客席はシーンとして静まりかえったままだ。

しかし固唾をのんで聞き入っているのがわかる。

アート・ガーファンクルの歌声が、観客の心を鷲掴みにしているのがわかる。

そして歌い終わった瞬間、嵐のような喝采が湧き上がるのだ。

とてつもない名曲の誕生に立ち会ったその感動が、音源を通じて伝わってきて、本当に心が震える。

これから50年後もきっと、この曲は多くの感動を呼び起こしているだろう。

 


 

 

なお、2011年にリリースされた「明日に架ける橋」40周年記念盤の中のDVDに収録されていたドキュメンタリー映画『The Harmony Game:The Making of Bridge Over Troubled Water』の抜粋映像が今後YouTube上で順次公開されるそうだ。


Simon & Garfunkel: Bridge over Troubled Water (Trailer)

 

<この項おわり>