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【JAZZ新譜】ジャンルレスなギタリストがアコギソロに挑んだ秀作 Pittsburgh / Matthew Stevens (2021)

ピッツバーグ / マシュー・スティーヴンス

Pittsburgh

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マシュー・スティーヴンスはカナダ出身、現在はニューヨークを中心に活動するギタリスト、作曲家。

00年代半ばからエスペランサ・スポルディングのバンドなどで活動し、ジャズ畑の人ではあるが、インディー・ロック、ポストロック的なスタイルを織り込んだ演奏が特徴。

ではあるのだが、今回のアルバムは、なんとアコギ一本。

コロナ禍で外出が制限されるなか、右肘を骨折しそのリハビリをきっかけにしての制作だという。

転んでもタダでは起きないということだ。


アコギの達人は、最近You Tubeでよく見かけ、ストリートミュージシャンとおぼしき人が、とてつもなくアクロバティックなプレイを聞かせていたりもする。

ただ多くの場合、ああいう人たちは自分の得意な曲を得意な奏法でやっているだけで、意外と表現の幅は狭かったりするものだ。

しかしマシュー・スティーヴンスはさすがに歴戦のプロであって、アコギ1本で、カントリーぽいものからブラジリアンテイストのものまで、自在に弾きこなす。

おそらくリハビリの意味もあるからだろう、あえて多彩な技に挑戦している節もある。


メロディは美しいが情感に流されず端正で、ギミックもほとんどない。

前のアルバムがサンプリングやオーバーダブを使いまくっていたことを思えば、ほとんど別人だが、実は以前からこういうのがやりたかったのかもしれない。

そんな無垢な演奏の喜びが伝わってくる作品でもある。

なお、このタイトルは、ピッツバーグで録音されたからだそうだ。

 

 

 

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