おとのほそみち

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松尾潔氏が選んだ「ジャネット・ジャクソン以降のR&Bディーヴァたち」

 

NHK-FM「miwaのmuse note」4月18日放送分で、松尾潔氏によるプレイリストがオンエアされた。それが「ジャネット・ジャクソン以降のR&Bディーヴァたち」。

松尾氏が出演したのではなく、プレイリストと各曲のオススメのメッセージを提供し、それをmiwaちゃんが紹介するという格好。

同じくNHK-FMの松尾氏の番組「メロウな夜」が、中級・上級編の選曲だとすると、今回のは入門編といった趣きで、miwaちゃんも番組中でそのように述べていた。

「muse note」でも洋楽はよくかかるのだが、miwaちゃんの趣味はシェリル・クロウやアヴリル・ラヴィーンあたりで、R&Bはほとんどかからないから、なかなか新鮮だった。

 

入門編とはいえ、ツボをおさえたセレクトは、さすが松尾さん。

「Escapade」Janet Jackson 
「Real Love」Mary J. Blige
「Crazy In Love」Beyonce featuring Jay‐Z
「If I Ain't Got You」Alicia Keys
「Umbrella」Rihanna featuring Jay‐Z
「Boo'd Up」Ella Mai

実力はもちろんだが、世代のバランスもとれてますね。

ジャネット・ジャクソンは50代前半(66年生まれ)で、メアリー・J.ブライジは40代後半(71年生まれ)。
ビヨンセ、アリシア・キーズは30代後半(ともに81年生まれ)、リアーナは30代前半(88年生まれ)、エラ・メイは20代(94年生まれ)。

いや、ケラーニはどうした、タミアは、キーシャ・コールは、ニッキー・ミナージュは、と言い出せばきりがない。

ジャネット以降5人しばりであれば、このセレクトがほぼ鉄板と言っていいのでは、と思う。

以下、松尾氏のオススメコメントを書き起こしておきますが、ヌケモレはご容赦を。

 

「Escapade」Janet Jackson 
アメリカで最も有名な音楽一家ジャクソンファミリーに生まれながら、その重圧をはねのけ、名プロデューサーコンビ ジャム&ルイスと組んで、次々に傑作をリリース。歌って踊る女性R&Bシンガーの誰もが彼女を目標にしていると言っても過言ではありません。これは初期の代表作。


 

「Real Love」Mary J. Blige

80年台後半から勢力を増したヒップホップ。そのムーブメントを受けて生まれた新ジャンル、ヒップホップソウルの女王。のちにラッパー パフ・ダディとして有名になるプロデューサー、ショーン・パフィ・コームズとのコラボレーションはR&Bにサウンド革命をもたらしました。

 

「Crazy In Love」Beyonce featuring Jay‐Z
現時点での女王。デスティニーズ・チャイルドのメンバーとして10代でデビュー、一世を風靡。その後、ソロデビューしてからも、一度も人気が落ちたことのない奇跡的存在。この曲で共演したラッパーのジェイZとは、2008年に結婚。アメリカのショービズきってのリッチカップルでもあります。昨年はファミリーネームであるザ・カーターズ名義でアルバムを発表、話題を集めました。

 

「If I Ain't Got You」Alicia Keys
クラシックからジャズまで弾きこなす優れたピアニストであり、16歳のときに飛び級で名門コロンビア大学に入学した才女(音楽に専念するため4週間で中退したそうですが)。同世代のビヨンセと比較されてきましたが、自作曲のこの名バラードで唯一無二の居場所を作ったといえるでしょう。いわゆる好感度の高い存在でもあり、今年2月に行われたグラミー賞では、はじめて司会をつとめました。

 

「Umbrella」Rihanna featuring Jay‐Z
カリブ海のバルバドス出身。16歳でアメリカに移住。ジェイZのオーディションに合格して、当時彼が運営していたレーベルからデビューしました。ファッションアイコンとしても圧倒的な支持があります。

 

「Boo'd Up」Ella Mai
昨年最も息の長いR&Bヒットとなったのが、この曲。南ロンドン出身ながら、12歳から高校卒業まではニューヨークで過ごし、帰国後はガールグループを結成するも不発。2015年からソロ活動の一貫としてSNSにカバー動画を発表。それがアメリカ人プロデューサー DJマスタードの目に止まって全米デビューを果たしました。いま一番その動向が注目されている女性シンガーです。




この番組のプレイリストシリーズはレギュラー化する模様で、松尾氏の次(5月23日放送分)の提供者は押尾コータロー氏だった。
なかなか人選の飛躍がすごいが、これも興味深い内容だったので、稿を改めて紹介したい。

 

<了>