シティ・オブ・サウンズ / ジョー・ファンズワース
ビシッと決まったスーツ姿は、やり手のコンサルタントのようだが、手に持っているのはスティック。
ジョー・ファンズワースは実力と人気を兼ね備えたジャズドラマー。
ではあるのだが、このアルバムに関していえば、ケニー・バロン参加を掲げた方が、飛びつくジャズファンは多いかもしれない。
なんせ当代随一のピアニストなのだから。
ジョー・ファンズワースは1968年生まれだから、50代に入って円熟味を増してくる時期。
これまでジョージ・コールマン、ベニー・ゴルソン、ファラオ・サンダース、カーティス・フラー、ホレス・シルバー、ダイアナ・クラールらビッグネームとの共演を重ね、着実にキャリアを築いてきた。
どちらかというと、腕利きのバイプレイヤーという印象が強いが、2020年に初のリーダーアルバム『Time To Swing』をリリースし、好評を博す。
今作の『City of Sounds』は、それに続く2枚めのリーダーアルバムで、ケニー・バロンは1枚目に続く参加だ。
ピーター・ワシントンのベースを含めたピアノトリオだが、これはジョー・ファンズワースが最も得意とするスタイル。
タイトルの「City」はニューヨークを指す。
この街で活躍した先人たちへのリスペクトが感じられる一枚だ。
まさにピアノトリオの王道というべき演奏で、特段のサプライズやクセ玉はないが、そのぶん安心して聴いていられる。
<了>