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【JAZZ新譜】当代屈指のピアニストがプログレに触発された作品 Jacob's Ladder / Brad Mehldau (2022)

ジェイコブズ・ラダー / ブラッド・メルドー

JACOB'S LADDER

JACOB'S LADDER

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実力、人気ともに、現代ジャズシーンのトップに立つピアニスト、ブラッド・メルドー。

ジャズという枠組みに囚われない作品も多いメルドーだが、今作はプログレッシブ・ロックに触発された作品とのこと。

メルドーはもともとクラシックからピアノをスタートし、10代のころはプログレや、ウェザー・リポートとかが好きだったらしい。

それが今回のアルバムの背景らしいのだが、なぜ今のタイミングでのリリースなのか、ちょっとよくわからない。

メルドーはシンセも弾いているし、ヴォーカリストもいるし、ラッシュの1981年のヒット曲「トム・ソーヤー」をカヴァーしているしで、サウンドデザインは、なるほどプログレ。

70年代のプログレをよく聞いてきた人なら、「プログレあるあるだなあ」と苦笑いすることだろう。

メルドーはもちろん、ドラムのマーク・ジュリアナのテクニックは素晴らしいし、ドラマティックでスペクタクルな展開には、聞き所も多い。

しかし、あまりにプログレ的過ぎて、ジャズ的な要素は、無理矢理に探さないと見当たらない。

メルドーがこれをやりたかったことは、なんとなくわかるが、ぶっちゃけプログレ路線はこれだけにして、かつてのような詩的でストイックなピアノを、ふんだんに聞かせて欲しいものだと思う。

 

 

<了>

 

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