ジェイコブズ・ラダー / ブラッド・メルドー
実力、人気ともに、現代ジャズシーンのトップに立つピアニスト、ブラッド・メルドー。
ジャズという枠組みに囚われない作品も多いメルドーだが、今作はプログレッシブ・ロックに触発された作品とのこと。
メルドーはもともとクラシックからピアノをスタートし、10代のころはプログレや、ウェザー・リポートとかが好きだったらしい。
それが今回のアルバムの背景らしいのだが、なぜ今のタイミングでのリリースなのか、ちょっとよくわからない。
メルドーはシンセも弾いているし、ヴォーカリストもいるし、ラッシュの1981年のヒット曲「トム・ソーヤー」をカヴァーしているしで、サウンドデザインは、なるほどプログレ。
70年代のプログレをよく聞いてきた人なら、「プログレあるあるだなあ」と苦笑いすることだろう。
メルドーはもちろん、ドラムのマーク・ジュリアナのテクニックは素晴らしいし、ドラマティックでスペクタクルな展開には、聞き所も多い。
しかし、あまりにプログレ的過ぎて、ジャズ的な要素は、無理矢理に探さないと見当たらない。
メルドーがこれをやりたかったことは、なんとなくわかるが、ぶっちゃけプログレ路線はこれだけにして、かつてのような詩的でストイックなピアノを、ふんだんに聞かせて欲しいものだと思う。
<了>
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