おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



LOVE,LOVE,LOVE / J.R.BAILEY (1972)

「LOVE,LOVE,LOVE」といっても、ドリカムとは関係ない。

ダニー・ハザウェイが1973年に発表した『Extension of a Man(愛と自由を求めて)』に収録されている。

愛と自由を求めて +1

愛と自由を求めて +1

 

ハサウェイの生前にリリースされた最後のスタジオ・アルバムとしてたいへん有名で、ソウルの歴史を語る上で欠かせない一枚。

ゆえにこの曲も、よく知られている。

しかし、ハサウェイのがオリジナルではない。

この曲の作者であるJ.R.ベイリーが、72年にシングルをリリースしていて、全米ソウルチャート31位。
スマッシュヒットを記録している。

 

のちのハサウェイの歌唱が有名になったため、影が薄くなってしまった感があるが、ハサウェイヴァージョンがあるからこそ、J.R.ベイリーの名が、今に語り継がれているとも言える。


J.R.ベイリーは、1937年ニューヨーク出身。

50年代からアーティストとして本格的な活動をスタートし、キャリア初期はThe Halos、The Cadillacsといったドゥー・ワップ・グループの一員として活躍した。

アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)、ロバータ・フラック(Roberta Flack)など錚々たるシンガーのバックヴォーカルを努めているので、業界内での評価は高かったのだろう。

1960年代の半ばからはソングライターとしても活躍しており、The Plattersの「Sweet Sweet Lovin'」も彼の手によるものだ。

 

1974年にはソロアルバム『Just Me'n'You』をリリース。
ニューソウルの名盤として知られ、「LOVE,LOVE,LOVE」も収められている。

Just Me 'n You by J.R. Bailey (2005-11-30)

Just Me 'n You by J.R. Bailey (2005-11-30)

 

しかし彼の活動期間は決して長くはなく、アルバムはもう一枚、1977年の『Love and Conversation』を残すのみ。

1985年に帰らぬ人となる。

まだ40代だった。

 <了>