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【AOR】スティーリー・ダンのフォロワーたち #4 JaR「SCENE29」2008

 

JaRはジェイ・グレイドン(Jay Graydon)とランディ・グッドラム(Randy Goodrum)によるプロジェクトで、2008年のこのアルバムが唯一の作品。

Scene 29

Scene 29

  • アーティスト: Jar
  • 出版社/メーカー: CD Baby
  • 発売日: 2008/09/24
  • メディア: CD

 

ジェイ・グレイドンは1980年代のAOR黄金時代を支えたギタリスト&プロデューサーで、自らメンバーだったエアプレイをはじめ、多数のヒット作を手がけている。

スティーリー・ダンとの関わりで言うと、名曲「Peg」のギター・ソロがあまりにも有名だ。

 

ランディ・グッドラムはジェイ・グレイドンほどは日本で知られていないが、コンポーザー&キーボードプレイヤーとして実績のある人。
ジョージ・ベンソン、アル・ジャロウ、マイケル・マクドナルド、シカゴ、スティーブ・ペリー、TOTOなどに曲を提供しているといえば、だいたいどういうテイストかわかってもらえるのではないか。

共作だけど日本でもヒットしたスティーブ・ペリーの「Oh Sherrie」は彼の作品。

 

で、JaRをひとことで言えば全体的にジャジー&メロウ、西海岸AORの21世紀初頭版という趣で、曲によっては明らかにスティーリー・ダン風のサウンドメイクがなされている。

逆に言えばエア・プレイぽさはあまりないが、ジェイ・グレイドンのギターソロはたっぷり聞ける。

ちょっと気になるのが、ギターとキーボードを除いて、ほぼ全編打ち込みであること。なので、本家スティーリー・ダンが持つ、ごく微妙な揺れというかタメというか、あの独特のグルーブはここでは感じにくい。

とはいえ、彼らは例えばMONKEY HOUSEほど確信犯的にスティーリー・ダンに寄せていったわけではないだろうし、狙ったのはあくまでも2008年型のウエスト・コースト・ポップ。その面では十分なクオリティを持つ作品だと思う。

 

#この項おわり