JaRはジェイ・グレイドン(Jay Graydon)とランディ・グッドラム(Randy Goodrum)によるプロジェクトで、2008年のこのアルバムが唯一の作品。
ジェイ・グレイドンは1980年代のAOR黄金時代を支えたギタリスト&プロデューサーで、自らメンバーだったエアプレイをはじめ、多数のヒット作を手がけている。
スティーリー・ダンとの関わりで言うと、名曲「Peg」のギター・ソロがあまりにも有名だ。
ランディ・グッドラムはジェイ・グレイドンほどは日本で知られていないが、コンポーザー&キーボードプレイヤーとして実績のある人。
ジョージ・ベンソン、アル・ジャロウ、マイケル・マクドナルド、シカゴ、スティーブ・ペリー、TOTOなどに曲を提供しているといえば、だいたいどういうテイストかわかってもらえるのではないか。
共作だけど日本でもヒットしたスティーブ・ペリーの「Oh Sherrie」は彼の作品。
で、JaRをひとことで言えば全体的にジャジー&メロウ、西海岸AORの21世紀初頭版という趣で、曲によっては明らかにスティーリー・ダン風のサウンドメイクがなされている。
逆に言えばエア・プレイぽさはあまりないが、ジェイ・グレイドンのギターソロはたっぷり聞ける。
ちょっと気になるのが、ギターとキーボードを除いて、ほぼ全編打ち込みであること。なので、本家スティーリー・ダンが持つ、ごく微妙な揺れというかタメというか、あの独特のグルーブはここでは感じにくい。
とはいえ、彼らは例えばMONKEY HOUSEほど確信犯的にスティーリー・ダンに寄せていったわけではないだろうし、狙ったのはあくまでも2008年型のウエスト・コースト・ポップ。その面では十分なクオリティを持つ作品だと思う。
#この項おわり