1983年にリリースされたジャーニー「フロンティアーズ」(Frontiers) は、ロック史上に残るアルバムである。
アメリカだけで600万枚を売り上げ、「セパレイト・ウェイズ」を始め、このアルバムからのシングルヒットが相次いだ。
日本のラジオでも毎日かかりまくっていた記憶がある。
コアなロックファンの中には「ポップ過ぎる」「売れ筋狙いがミエミエ」と酷評する向きもあったが、それは価値観の違い。多くの人に支持されたという事実は揺るぎない。
ただ、これだけのセールスを記録しながら、実は全米アルバムチャートの1位は獲っていない。9週連続で2位という非常に珍しい記録を持っている。
なぜこんなことになったのかというと、同じ時期にマイケル・ジャクソンの「スリラー」が1位に君臨し続けていたからだ。
これはもう、相手が悪かったというしかない。
ジャーニーはその後、紆余曲折を経ながらも活動を続け、2017年にはロックの殿堂入りを果たす。
1998年の脱退後はメンバーと絶縁状態だったヴォーカルのスティーヴ・ペリーも記念式典には姿を見せた。ファンにとっては、まさに感無量であった。
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この「フロンティアーズ」の曲をカバーしている日本人アーチストがいる。
西城秀樹さんだ。
「BIG GAME '83 HIDEKI FINAL IN STADIUM CONCERT」に収められている「時への誓い(Faithfully)」「セパレイト・ウェイズ」である。
このライブはセットリストの約半分が洋楽のカバーだ。
ちなみに上記の2曲にはさまれた「シーズ・ア・ビューティー」はチューブス、「炎の彼方(Don't Tell Me You Love Me)」はナイト・レンジャーの曲である。
ん.....まてよ1983年のライブだと?
コンサートは1983年8月6日。
「フロンティアーズ」の日本盤リリースは5月21日である。カバーとして取り上げるにはけっこう早い。
アメリカでのリリースは2月22日だから、輸入盤をチェックしていた可能性もある。ジャーニーはこの年の2月・3月に来日公演をしているから、秀樹さんはこれを観ていたのではないだろうか。
ついでにいうと、このライブアルバムのリリースは9月15日。
コンサート当日から1ヶ月ちょっとしか経っておらず、これも相当早い。
今のような配信の時代ではない。ジャケットを印刷・成型し、レコードを工場でプレスしていた時代のことなのだ。
秀樹さんをはじめ、スタッフの方の「早くファンに届けたい」という思いが結実してのことだろう。
ジャーニーもまさか自分たちのリリースの約半年後に日本でカバーされているとは、思わなかったのではないか。
このライブ盤はすでに廃盤でCD化もされていないが、ありがたいことにレコード音源を上げてくれている方がいるので、張らせていただく。本家も併せて。
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せっかくなので、チューブス、ナイト・レンジャーも。
#この項おわり