もともとはイタリアの童謡である。
とはいっても特に古い曲ではなく、1969年、イタリアで毎年開催されるゼッキーノドーロ音楽祭という子どものための歌のコンクールで入賞。
当時4歳だった少女の歌唱でレコード化され、なんと900万枚も売り上げたとされる。
原題は"Volevo un gatto nero"で、そのまま訳すと“黒い猫が欲しかった”となる。
日本では、子役であった皆川おさむがこれをカバーした。
リリースは1969年10月5日。このとき皆川おさむは6歳だった。
当時、皆川おさむの叔母にあたる皆川和子が設立したひばり児童合唱団にリリースのオファーがあったことから、皆川おさむが歌うことになったのだという。
同合唱団の設立は1943年。太平洋戦争の最中である。
「黒猫のタンゴ」リリース時点で、すでに約25年の歴史があった。
NHKの人気番組「みんなのうた」で紹介されると、たちまち注目され、オリコンで14週連続1位を記録。230万枚を売り上げる。
正直なところ、そこまでインパクトがある曲とは思えないけれど、童謡には珍しいタンゴであったことが、大人の耳を惹いたのは確かだろう。
当時のキャッチコピーは「大人のための子どもの歌」。
なるほど、である。
この作品は海外でもリリースされた。
Wikiによれば「日本語版のレコードはアメリカ、オランダなどでも販売。また、皆川はイタリア語・英語・ドイツ語・フランス語など世界6か国語の歌詞で吹き込み、皆川版の全世界でのレコード売上は400万枚以上に達した」という。
ひばり児童合唱団はその後も、日本を代表する児童合唱団として歴史を重ねる。
皆川和子は2014年に92歳で他界。
現在、同合唱団の代表に就いているのは、皆川おさむである。
<了>