おとのほそみち

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サンデーソングブック2024年6月30日『アルバム「BIG WAVE」40周年記念ミニ特集』

番組中の曲解説の主要な部分を要約して記しています。

Big Wave (30th Anniversary Edition)

Big Wave (30th Anniversary Edition)

  • アーティスト:山下達郎
  • ワーナーミュージックジャパン
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今を去ること40年前、1984年の6月20日というのが私のアルバム「BIG WAVE」の発売日でございます。
「BIG WAVE」同名の映画のサウンドトラックとして発売されましたけれども、あれから40年経ちまして。
実質、サウンドトラックとはいうもののですね、私のソロアルバム。
全曲、英語。半分オリジナル、半分ビーチボーイズ関係のカバーという、そういうような、ちょっと企画の変わったアルバムでした。

2014年、30周年記念盤というのを出しました。
40周年記念盤をどうしようかなと考えていましたけれども、もうストックがございません(笑)。
ボーナス・トラックとか出し尽くしてしまいましてですね(笑)
リマスターも、もうそんなに、これ以上向上しないというものなので、今年は、それに加えてなかなか時間的な余裕がございませんので40周年記念盤、出せません。
なんとなく、かわいそうな感じで、せめて番組だけでもですね、40周年を記念しましてミニ特集でもしてやろうかと。
本日はちょっと10日ほど遅くなりましたけれども「BIG WAVE」のミニ特集をお届けしたいと思います。

40年前ですので31歳でございました。40年経つと71になるんだというのはですね、当たり前です。恐ろしい!
まだバリバリの時、まだやる気満々という時代でありましたが。
前年、レコード会社をムーン・レコードというところに移籍しまして「MELODIES」というアルバムを出しました。
それの1曲目に入っております「悲しみのジョディ」
これに英語の詞を付けまして「JODY」というバージョンに変えました。

この「BIG WAVE」のアルバム、アナログA面、ひところはA面だとかB面だとか「古い~」とか言われました。
今はそうじゃない、アナログA面、アナログB面、堂々と言える。不思議な感じがいたしますが。
アナログA面は私自身のオリジナル・ソングでございまして、アナログB面がビーチ・ボーイズを中心とした洋楽カバーで構成されたアルバムです。

この頃は、シングルをリリースした裏面に、そうした遊びの曲を入れているという、そういうような時代でありまして。
私、ビーチ・ボーイズが好きだったので、ビーチ・ボーイズのカバーを一人多重で、ドラムから全部自分で演奏して録音しておりまして。
そんなことをやっていましたら、サーフィン・ムービーの主題歌の話が舞い込んでまいりまして、これはいい企画だと、じゃあいっそのこと全部英語のバージョンでサウンド・トラックを埋めてみようと。
そういうようなことで、スタートしましたのが「BIG WAVE」の映画のサウンドトラックの企画でありました。

4曲目、この「BIG WAVE」のアルバムのために書き下ろした1曲なんですが、ギターを弾きながら歌えないという構造的な欠陥を持っておりまして。
未だに、ライブで一度もやったことはございません(笑)。
レコードでお楽しみをいただくという。
あれから40年「MAGIC WAYS」

私のオリジナルソングの英語を担当しておりますのはアラン・オデイ
アメリカの有名なシンガーソングライター。
自分でも「Undercover Angel」というナンバーワン・ヒットを持っております。
70年代の終わりからアラン・オデイと交流ができまして、私の以後の英語詩の作品は全てアラン・オデイに頼んでおります。
もう10年経ちましたが2013年に亡くなってしまいました。
この曲「MAGIC WAYS」もアラン・オデイの作詞であります。
1984年当時はまだインターネットありませんでしたので、こうしたアラン・オデイに英語の詩を頼む場合は、こっちがカセットに録音しまして、まだデジタル以前の話ですので、カセットを郵便で送って、彼がそれを聴いて、デモテープを自分で歌ってカセットでそれを送り返して、数週間かかるという(笑)
大変に手間のかかる時代でしたので、それじゃアルバムの制作が間に合わないので、アラン・オデイに日本へ来てもらってですね、約1ヶ月にわたって歌詞を書いて、レコーディングしたという、そういう世界であります。

「BIG WAVEのテーマ」「JODY」「MAGIC WAYS」「Your Eyes」
こうした曲がA面に入っております。
それに加えて、私その前年にですね、サントリーのギフトのコマーシャルに使いました「I LOVE YOU」という作品があります。
これを、このアルバムに収録しております。
「I LOVE YOU」で一曲作れという、ご無体なですね。泣く子とスポンサーには、と作りました「I LOVE YOU...PART I 」
なぜPART Iかと言いますと、これがオリジナル・バージョンですが、これに聴いたアラン・オデイが、この上にもう一個メロディをくっつけて、違うバージョンを作ろうと提案しました。それが.PART2という形で収められております。

アルバムのB面は、私の大好きなビーチ・ボーイズのナンバーを一人多重録音で制作しましたトラックを集めました。
昔からビーチ・ボーイズ好きだったんですけども、ビーチ・ボーイズの音楽を再現するのは、スタジオミュージシャンだとですね、特に日本では、僕なんかが思っているビーチ・ボーイズの色彩が出ないので
カバー・バージョンとしてやっぱりよくないので、一人で全部でと。
正確に言うとベースだけ伊藤広規さんにお願いしたりしてますけれども。

このアルバムの企画が出た時に、じゃあこの曲をやろうと、このアルバムのために録音をしました。
これがA面の1曲目に入っております。
1964年のビーチボイズのアルバム「ALL SUMMER LONG」に収録されております素晴らしいナンバー「GIRLS ON THE BEACH 」
この曲をビーチボーズが発表してから60年の歳月が経ちますが、この「BIG WAVE」も40年の歳月が経ちます(笑)時間がどんどん経ちますが(笑)

実はカバーというのは非常に難しい。
やっぱオリジナルと比べられて、オリジナルとどっちがと、勝ち負けと言いましょうかですね。
勝てないまでも、タメで行くような努力がなかなか難しい。
特に完コピをしようと思ったら、すごく難しい。そんなようなことを考えつつ。

B面2曲目に入っております、これも私の大好きな曲をカバーをしてみました。
1965年のビーチボーイズのアルバム「TODAY」に入っております、これも傑作な一曲です「PLEASE LET ME WONDER」
このテイクはですね実は逸話がありまして。
1回歌って、ミックスしたんですけども、実は2番の歌詞が違ってるっていうのが、その後に分かりまして。
正式な歌詞が届いたらちょっと違ってたんで。
もう一回歌い直してミックスしようとしましたらですね、エンジニアの吉田さんが「そこの部分だけやり直せばいい」って強行に言い張りまして。そこの8小節だけ、前のテイクを聴きながらミックスし直してですね、まだコンピューター・ミックスない時代ですから、そこだけテープつないで作ったという。
ですのでそこの部分だけ若干エコーの感じが変わるんですが、でもその程度で済んだという。
だったら全部ミックスすりゃいいじゃないかって(笑)
なんか「嫌だ!」「めんどくさい!」とか、それをいま急に思い出しました。

というわけで「BIG WAVE」発売40周年でございまして、ミニ特集でお届けをしました。
引き続きご愛聴のほどを。