おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也

矢沢永吉、バラードベストを語る 「J-POP LEGEND FORUM」より

10月21日、矢沢永吉のバラードベストアルバム『STANDARD~THE BALLAD BEST』がリリースされる。

そのプロモーションの一環なのだろう、FM COCOLOの「J-POP LEGEND FORUM」に出演。

DJの田家秀樹氏との対話というかたちではないけれど、かなり長い録音メッセージを番組向けに寄せている。

ここに、その内容を書き起こしておく(一部要約:放送は10月5日)

ちょっと驚いたのは、オリジナルからキーを下げて再録音したと語っていること。

あまり言わないですよ、こんなこと。

年齢を重ねて、喉が衰えたと思われるから。

でも、今回下げた理由は、そうではなかった。

 

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 <以下、書き起こし>

このたびベストアルバム『STANDARD~THE BALLAD BEST』を10月21日に出すことになりました。
やろうと決めてから、どの曲をどうしようかということまでトータルで7ヶ月くらいかかったのかな。
そもそも今回ベストアルバム『STANDARD~THE BALLAD BEST~』をなぜ出そうと思ったのかというと、今から5、6年前に出したベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM』を二枚出して、一位を取れたのかな。
このCDが売れない時代にこんな嬉しいことはないですね。やっぱり。
従来の矢沢永吉のファン以外の人が買ってくれなかったら、聴いてくれてなかったらこんな数字にならないんじゃないかと思うと、作ってる本人からしたら最高ですよ。
矢沢の名前は知ってるけどファンじゃないっていう人が口コミで聴いてくれてるのかなと思った。
だったらバラードのベストみたいなものを将来出せたらいいよなっていうのは、なんとなく思ってました。

はっきりと出そうと決めたのは、去年の7月くらいですか。
そういった意味では、完成まで7、8ヶ月ほど経ったわけですね。
話せば長くなるんだけど、音楽の世界、ショウビジネス、ミュージックビジネスの世界、キャロルから含めたら48年くらいになりますかね。
長いんですよ。
キャロルの時代からとにかくライブ漬けの日々でアルバムも作る。
イケイケで「ファンキー・モンキー・ベイビー」みたいなナンバーから、解散してから「I LOVE YOU,OK」など色々な曲を書いていきまして。
でも、我々ロックのルーツはどこだって言われたら、やっぱり海の向こうのアメリカやイギリスだったり。
だったらロックの本拠地に行ってやろうぜって思った。
海外でレコーディングするミュージシャンたちのはしりであるかもしれません。
いろんな人とやりましたよ。
やっていくうちにだんだんアレンジの重要性、同じメロディでもアレンジでこんなに音楽感が変わってくるのかっていうことに、僕はショックと発見とびっくりがありましたね。
それからアレンジにものすごい興味を持つようになりました。
アレンジ一つで、同じメロディーでもこんなにも表現が変わってくるのかと。
ずっとやっていくうちに、だんだん自分がどういう立ち位置で音楽を作ってるのかなということに拘ったりもしましたね。
そこから一周ぐるっと廻って71歳にもなるんですけど、60歳くらいから自分はどういう音楽をしたいんだと思い至りまして。
すると、今回の『STANDARD~THE BALLAD BEST』を選曲するにあたって、昔のオリジナルをずっと聴いていく中で、どうしても納得できないある部分にぶつかるわけです。
分かりやすい言葉で言うと、オリジナルの音源ってすごいかっこいいんですよ。
かっこよくて、パッションでイケイケ。
だから、別の見方をするとちょっと強いって言うのかな。
イケイケが出過ぎて、下手したら押し付けになってるようなサウンドになってるかもしれない。
そうじゃない、押し付けじゃいけないんだ。もっと分かりやすく矢沢メロディが伝わるためには、何が強すぎるんだろうって考えたら、もう一回ミックスダウンしなきゃ納得できない自分がいたんですね。
今回の『STANDARD~THE BALLAD BEST』は、3枚組で全39曲入ってるんですけど、そのうちの17曲のミックスダウンをやり直しました。
そのうちの4曲か5曲はカラオケから作り直し。
例えば「いつの日か」なんてオリジナルだとキーがすごく高いんですよ。だから、一音キーを下げて作った。
じゃあ昔作ったオリジナルの音源はなんでそんなにキーが高かったのか。
「いつの日か」だって「東京」だって、なんでこんなにキーが高かったんだろうって曲が結構ありました。
なんでなのかね....あの頃イキがってたのか....
ポール・マッカートニーに憧れて「ロング・トール・サリー」みたいに俺はこれくらいのキー歌えるぞということばかり意識していたのか。
でも、やがて音楽が分かってくると、キーって高くすりゃいいてもんじゃないと気づいた。
僕のこのボイスに一番マッチングするキーってあるんじゃないかって思い至ると、もういてもたってもいられない。
一音キー下げて歌わないと俺は納得できないと思ったんです。
だから「いつの日か」は元から作り直しですよ。
元から作り直して歌を歌い直してミックスダウンし直し。
マルチテープがないものは、マスタリングのイコライジングで尖ってる部分とかイケイケの部分をもっと素直にストンと入るサウンドに近づけようと思った。
そんな感じでこの39曲は何らかの手を加えているんですよ。
生まれ変わったといっても過言ではないと思うんです。
矢沢の音楽の総集編と言ってもいいアルバムができたと思います。

<書き起こしおわり>

 

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  • アーティスト:矢沢永吉
  • 発売日: 2020/10/21
  • メディア: CD