おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也

Bill Withers / Lean On Me 1972

 

「Lean On Me」は、ビル・ウィザースのシングルの中で、最も有名で最もヒットした曲だ。
1972年に全米1位を獲得している。

前年、1971年の「Ain't No Sunshine」が全米3位のヒットになり、翌年のグラミー賞でBest R&B Songを受賞してブレイクしたわけだが、さほど間を置かずにヒットを連発して、その名を広く知らしめた。

続く「Use Me」も全米2位を記録している。

 


 

彼は、いわば遅咲きの人、というか音楽活動を本格的にスタートしたのが20代の後半からで、デビューアルバムをリリースしたときは、すでに33歳だった。

これらのヒットはさぞかし嬉しかっただろう。

 

この「Lean On Me」「Use Me」を収めたアルバム『Still Bill』(1972)は、なかなかの名盤である。

Still Bill by Bill Withers (2009-12-01)

Still Bill by Bill Withers (2009-12-01)

  • アーティスト:Bill Withers
  • 出版社/メーカー: SBME SPECIAL MKTS.
  • メディア: CD

全体にシンプルなつくりだが、ウィザースの歌の安定感はさすがだし、バックの演奏も達者。

Charles Wright & the Watts 103rd Street Rhythm Band(チャールズ・ライト&ザ・ワッツ・103rd・ストリート・リズム・バンド)のメンバーらがバック努めているのだが、自分らのバンドでは結構ゆるいプレイなのにも関わらず、『Still Bill』ではクールで緊張感に満ちた演奏を披露している。

なかでもドラムのジェイムス・ギャドソンは、このアルバムがきっかけで、超売れっ子のドラマーになり、マーヴィン・ゲイの『I Want You』、ドナルド・フェイゲン『The Nightfly』、 ボズ・スキャッグスの『Slow Dancer』など名だたる名盤を含め、のべ3000枚以上のアルバムのレコーディングに参加したとされる。


ビル・ウィザースは70年代後半はヒットには恵まれず、1981年にサックスのグローバー・ワシントン・ジュニアの「Just the Two of Us」に参加して、これが全米2位のヒット。


Just The Two Of Us【訳詞付】- Grover Washinton jr. & Bill Withers

 

日本のラジオや有線でもかかりまくっていて、この曲で彼を知った人も多かったと思う。あくまでもゲストなんだけど。

「Just the Two of Us」での洒脱でアダルトな感じもいいのだが、やはり『Still Bill』の頃の、ぐっと力のこもった歌いぶりに惹かれる。

なお彼は1985年のアルバム『Watching You Watching Me』以降は、事実上の引退状態になってしまうが、2009年にはドキュメンタリー映画『Still Bill』が公開され、2015年4月には「ロックの殿堂入り」を果たすなど、再評価の声は近年も高い。(映画は日本では未公開)

また、現代ジャズ・シーンの最先端を走るヴォーカリスト、ホセ・ジェイムズが、2018年ビル・ウィザーズへのトリビュート・アルバム『Lean On Me』をリリースしている。

リーン・オン・ミー

リーン・オン・ミー

  • アーティスト:ホセ・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2018/09/21
  • メディア: CD

 

<この項おわり>