アコギでビートルズを弾く--誰でも思いつく企画だが、作品化するのは難題である。
生半可な内容では「ビートルズ?何をいまさら」とスルーされるのは明らかだからだ。
その高いハードルを、ふわりと越えた作品が私見では2つある。
サージェント・ツゲイズ・オンリー・ワン・クラブ・バンドの「THE BEATLES 10」と、アル・ディメオラ(Al Di Meola )の「All Your Life: A Tribute To The Beatles」である。
サージェント・ツゲイズ・オンリー・ワン・クラブ・バンドとは告井延隆の別名称。
告井氏は40年間の活動歴を誇るロックバンド、センチメンタル・シティ・ロマンスのリーダーにしてギタリストだ。
一方のアル・ディメオラはチック・コリア率いる「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に参加して以来、こちらも40年のキャリアを誇る超絶ギタリストである。
どちらが上手いかといえば一瞬の迷いなくディメオラだ。
だが、どちらがアイデアが豊富かといえば告井延隆の作品である。
ディメオラのギターはとにかく華麗であざやか。
そもそもがジャズの人だから緩急が巧みで、元曲のイメージを離れた攻撃的なアドリブが頻出する。
これとは逆に告井延隆はビートルズの元曲のイメージをそのままギター1本で再現しようとしている。
そのアイデアがすばらしい。
同封の解説に記されたピーター・バラカン氏の言葉は実に正直だ。
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どの曲を聞いてもオリジナルの雰囲気を物凄く上手に再現していて、これは面白いと思ってね。オーバーダビングしないでたった一人でギターを演奏して「え!!ここまで出来るの?」って思ったんですよ。
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ちなみに録音は日本屈指のエンジニア鈴木智雄氏であることにも注目。
YouTubeに演奏があるので貼り付けておくけれど、Tubeの音質ではアコギの魅力は十分に伝わらない。
ぜひクオリティの高い音源で聞いてほしいと思う。
こちらはディメオラ

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All Your Life (A Tribute To The Beatles)
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#この項おわり